愛を知らない僕にキミが僕に愛を教えてくれた日々のお話。
”愛を知らない僕にキミが僕に愛を教えてくれた日々のお話。”
僕には産まれた時から両親がいない!
たぶん、今でも何処かで生きていると思う。
僕は両親を知らずに育った。
僕を育てられないから捨てたんだ。
僕の母親はまだ10代で、男性との子供か分からない
僕をお腹に身ごもって、母親の両親もまだ若い母が子供を産む事を
凄く反対していたらしい。
だから僕を産んで施設に預けた。
あれから母親は一度も僕に会いに施設に来た事がない。
僕自身も母親に会いたいとは思わない。
”僕は捨てられた子だから。”
僕を捨てた母親に会いたいなんて思う訳がないよ。
でも施設でも人に馴染めず、18歳になるとそそくさと勝手に家を
借りて施設を出て行った。
みんな何時でもまた遊びに来ていいと言ってくれたが、僕は施設に
行く気は全くない。
施設に僕は馴染めなかったんだ。
”心を開く事が出来なかった。”
そもそも心を開くってどうやったら開けるのかも僕には分からないんだ。
それなのに、”ここではもっと心を開いていいから”と何度も言われて、
僕は凄くその言葉で居心地が悪く感じていた。
それに仲が良かった友達も一人もいない。
もうあの施設には二度と行かないよ。
*
・・・こうして僕は町工場で地味に社員になって、少ない給料で
ひっそりと一人暮らしをしていた。
職場の人達とも仲良くなる気がなかった僕はいつも休憩時間は
一人で居る事が多かった。
会社の社長はよく僕を飲みに誘ってくれたけど?
僕はその都度、断っていた。
もう誰とも仲良くなる気がなかったからだ。
誰かが一緒に居るだけで凄く疲れるんだ。
僕は一人で居る方が一番楽だと思っていた。
だから会社が休みの土日祝日は、一人で公園に行ってベンチに座り、
ハトにエサをやるのが楽しみの一つになっていた。
たまにハト以外にも、スズメもきて僕からエサを欲しがるんだよ。
それが僕の細やかな楽しみになっていたんだ。
だけど? そんな時、一人の女性と僕は出会う。
彼女との出会いで僕の何時もの日常が少しづつ変わっていったんだ!
彼女と出会ってから、、、。
『いつも、土日はここの公園に来てるんですか?』
『えぇ!? あぁ、は、はい。』
『私もこの公園が好きで、よく来るんですよ。』
『・・・へえ、そうなんですか、』
『あぁ! すみません、話しかけられるのひょっとして苦手でした?
一人の時間を楽しむタイプの男性だったのかなって。』
『・・・まあ、そうかもしれません。』
『ごめんなさい、ついあなたに話しかけたくなってしまって。』
『えぇ!?』
『”なんだか凄く寂しそうだったから。”』
『”・・・僕が寂しそう?”』
『一人で寂しくないんですか? 二人だともっと楽しいですよ。』
『・・・僕はそう想わないけど、』
『それはずっと独りだったからですよ、二人になったら絶対に楽しい
ですよ。』
『・・・二人?』
『”あなたと私です。”』
『・・・・・・』
それからこの公園で彼女と僕は話すようになって、お互い気が合った
のか? 確かに彼女が最初に僕に会った時に言った言葉通りになった。
”ふたりだともっと楽しい。”
僕は初めて彼女ができた。
”それが彼女だ!”
産まれて初めて僕一人の時間が二人の時間に変わる!
今まで誰かとこんなに長い時間一緒に居た事がなかった。
凄く窮屈だったからだ!
気を遣うばかりで、楽しいなんて思った事がなかった。
でも彼女は違う!
彼女と一緒に居る時間は僕にとって至福の時間に変った。
彼女と一緒に居ると? 僕はよく笑うようになった。
楽しいと心から想えるようになった。
何より僕が彼女と一緒に居たいと思うようになった。
それと? ”心を開くという意味が彼女と一緒に居て良く分かった。”
だから? 僕は施設に一度行ってみようと思う。
やっと心を開く事が出来たから。
何か僕自身の中で変わった気がしている。
今の僕なら、”僕みたいな人にも少しは寄り添えると思うんだ。”
これは、愛を知らない僕にキミが僕に愛を教えてくれた日々のお話。
これからも僕はキミと、、、。
こんな僕でもキミは僕とこれからも一緒に居てくれるかな?
最後まで読んでいただいてありがとうございます。