十三話「敵首都に舞う戦乙女」
首都防衛を担う精鋭である人民平等党親衛軍の兵士たちは、これまで対峙してきた敵を上回る高度な戦闘技能を誇っている。
さらにゾンガが人民平等党本部前で行った演説の影響もあり彼らは激しい抵抗を見せ一時はハの国政府軍を押し返す勢いを見せるが私が姿を現すと敵の戦意は大きく揺らぎ、それとは対照的にこちらの士気は大いに高まり戦況は一気にこちらに傾く。
ハの国政府軍兵A
「我らがハの国の代表が直々に戦場へ!」
ハの国政府軍兵B
「敵の士気が下がっている! 今こそ反撃の時だ!」
ハの国政府軍兵C
「独裁者の犬など恐れるに足らず! 前進するぞミコト様に続け!」
破竹の勢いで敵防衛組織を蹴散らしていき、ついに私は人民平等党本部前にたどり着く。
あたりを見渡すと至るところに戦闘の痕跡が残り張り詰めた緊張感が漂っている。
その瞬間、私のすぐ隣にいた兵士達が銃声とともに崩れ落ちる。一体どこから狙撃されている?
ミコト「全員、散開!」
私は即座に命令を下すも銃撃は止まらず、別の兵士も次々と命を落とす。
私は射線を分析し敵の居場所を特定する。視線の先にあるのは人民の広場に隣接した半壊した人民平等党本部だ
その正確な狙撃は〈十式対物狙撃銃〉を構えたハ人民共和国最高指導者のゾンガだ。
私はゾンガを討つべく全速力で駆け出す。
ゾンガ
「なぜミコトがここにいるんだ!? 七七部隊はどうした!? 奴を相手に近接戦闘じゃ分が悪い! 前衛は任せた!」
私の姿を見てすぐに副書記長のワイツマンに指示を出す。
ワイツマン
「Aフォーションでゾンガ将軍を守るぞ! 陣形を組み吶喊だ!」
ワイツマンは人民平等党親衛軍に対し私を迎え撃つよう命令を下す。
私に襲い掛かる親衛軍兵五人を軍刀で一気に切り伏せる。
ゾンガ
「国民番号三十~三十七! 行くんだ!」
ゾンガは待機させている廃墟に隠れている自爆兵に攻撃を命じる。
私は迫りくる自爆兵をライフルで狙い撃ち撃墜する。
ゾンガが自爆兵を番号で呼び自殺的な攻撃を命じる姿に怒りが込み上げる
ミコト
「国民を番号で呼び爆弾扱いか!?」
ゾンガは冷笑しながら言い返す。
ゾンガ
「お前も同じように戦艦〈誠実な労働〉の主砲を破壊させたんじゃないのか!?」
その言葉に耳を貸すことなく私は再びゾンガへ向かって駆ける。
途中、再び親衛軍兵が現れたが彼らをも切り伏せる。
ゾンガは距離を取る最中に私に向けて銃撃を加えるも私は防壁の符を発動させ、対物狙撃銃の弾丸を防ぐも凄まじい威力に身体のバランスを崩してしまう。
ミコト
「っく!」
追撃で副官が再び自爆兵に突撃を命じる。
ワイツマン
「五十~五十四!敵が怯んだそ!突っ込め!」
自爆兵が私に向かってくる。しかし突如、上空からの斬撃がその首が切り落とされる。
???
「遅れてすまない!」
ユウの声が響き私の胸の内は到着に歓喜する。
ゾンガ
「お前、その腕章……」
ゾンガはユウの右ポケットにはみ出す腕章の数字を読んで衝撃を受けている。
ユウ
「あぁ、確かに強かった。だが全員でかかってきてもドミトリー、一人には及ばなかったな」
ゾンガ
「はったりだな!ドミトリーは先の海戦で貴様らの艦砲によって戦死したのだ!お前が奴を知っているはずはない!」
ミコト
「ゾンガ!残念ながらドミトリーを倒したのはお前の目の前にいるユウだ! さらに、お前が誇る最強の七七部隊もすでに全滅している! もはや私たちと互角に戦える戦力は残されていない! 速やかに戦闘をやめ投降しろ!これ以上の戦いは無意味だ! 無駄死にしたくはないだろう!?」
ゾンガ
「先の海戦の意趣返しのつもりか!? ここで死ぬのは共和国の敵である貴様らだ!」




