《プロローグ》 燃える歯車の街
処女作です。お手柔らかに。
空を見上げると、そこには都市があった。
ただの都市ではない。雲を突き抜け、宇宙まで伸びる鋼鉄の塔、無数の歯車が絡み合い、蒸気と魔素の光が混ざり合う——それが「天衝都市」だった。
この都市は、魔導回路によって動く。
エネルギー源は魔素。大気中に漂うそれを「魔導炉」で燃やし、蒸気とともに機械を動かす。人々は魔導技術を当たり前のように使い、都市は成長を続けた。だが、その繁栄の影には、決して語られることのない「犠牲」があった。
「——この世界は、間違っている」
都市の下層、錆びついた鉄橋の上で、一人の青年が呟いた。
彼の名はソウタ・青嵐。魔導技術のエンジニアであり、都市の支配構造に疑問を抱く若き反逆者だった。
この街は、技術の独占によって成り立っている。企業が特許を盾にし、貧しい者たちは魔導の恩恵を受けられない。さらに、都市の発展の裏で、周囲の土地は砂漠化し、外縁に住む人々は見捨てられていた。
ソウタはポケットから、小さな魔導回路の設計図を取り出した。
それは、誰にでも魔素を使えるようにする革新的な技術。もしこれを広めることができれば——
「やはり、ここにいたか」
低く、冷静な声が背後から響いた。
振り返ると、そこには黒いコートを纏った男が立っていた。
ユウジン・桐生。魔導技術を独占する巨大企業「ゼノ=インダストリア」のエグゼクティブであり、ソウタの元上司だった。
「……お前が来るとは思ってたよ、ユウジン」
「お前が何をしようとしているか、わかっている。だが、それは許されない」
二人の視線が交錯する。
未来を変えたい者と、秩序を守りたい者——この都市の命運を分かつ戦いが、今始まろうとしていた。
——魔法と科学が交差する世界で、少年は何を選ぶのか。
すぐに1話も投稿予定です。




