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6話

新幹線に乗りながら僕と風花は駅で購入した駅弁を食べる。

「そういえば、なんでこっちに転校してきたんだよ」

僕は風花にそう問いかける

「パパとママが離婚して、ママの実家がこっちだったから」

風花は俯きながらそうつぶやく

「なんか、ごめん、、、」

「いいのよ、気にしてないから。それに、パパとの思い出は楽しいのばかりだったから」

「お前の父親はピアノのことどう思っていたんだ」

「パパはね、私がピアノをただ楽しく弾いていればいいよっていつも言ってくれてたの。でも、ママはそれが気に食わなかったみたい。だから、私がピアノで注目されればするほど二人の仲はどんどん悪くなっていったわ」

風花はとてもつらそうな顔をして下を向く。

「私にピアノの才能なんてなければ普通の家族としてうまくいっていたのかな」

風花は今にも泣きだしそうだ。

「そんなこと言うなよ。きっとお前の父親はお前がいろいろ抱えてしまっていることに気付いていたんだよ。だから、お前の味方でいてくれたんだ」

風花は少しうれしそうな顔をする

「パパに会いたいな」






風花はポツリとそういいながら弁当を口に運ぶ。

「この弁当本当においしい」

風花と僕は僕らの住んでいる地域の名産品である明太子のお弁当を食べている。

風花は、その弁当をとても気に入ってしまったらしくさっきの会話がなかったようにそれに食らいつく。

「ほんと、名物てことは知っていたけど明太子なんてどこで食べても同じだと思っていたわ。何が普通のスーパーで売っているものと違うのかしら。確かに、大きさは普通のよりも大きいけど」

風花は真剣に悩み始める。

「ねえ、後藤君何か知ってる?」

風花はそう僕に問いかける。

「詳しいことは知らないが、一つの地域にたくさんメーカーがあるから競争が激しくなって、味に対するこだわりが強くなったからとかじゃないか」

僕は、なんとなくそう答える

「確かに、それわ一つの理由としてありそうね」

風花は、少し納得したようだ。

そんなとき、僕はあることに気が付く、風花の頬に明太子弁当のご飯粒がついているのだ。僕は、さっきまであれほど深刻そうにしていた彼女と今のご飯粒のついた間抜けな彼女とのギャップに思わず腹を抱えて笑ってしまった。

「ねえ、何笑ってるのよ。人の顔見て笑うなんて失礼だと思わないの」

彼女は、目を細めて僕のことを非難する。

「ごめん、君の顔にご飯粒が付いていてそれがどうしてもな抜けに見えて。」

僕は、彼女に待ったく悪気がなかったことを伝える。

「あ、、、」

彼女は顔を真っ赤にしながら僕とは反対側を見てテッシュで上品そうに米粒をとる。

そんな様子を僕は思わずじっと凝視してしまった。

「いつまで見ているのよ」

彼女は僕のことをそう咎める。

「ごめん、君が表情をころころ変えるからいつものイメージと違って新鮮で」

僕は正直な思いを彼女に伝える

「いつものイメージって何よ」

彼女はそう僕を問い詰める

「君は、もっと冷徹で完璧主義者な人間だって思ってたけど、ほかのやつより感情がころころ変わって面白い奴だなて思って」

そう、彼女はもっとすごい人間で完璧なやつだと思っていたし、実際彼女はピアノの天才ですごい奴だ。それなのに、一緒に旅することを決めて1時間程度でこれだけの違う面が知れて彼女の印象ははじめよりもかなり変化した。

「それは、後藤君が私を連れ出してくれたからよ」

彼女は真剣に僕を見つめてそう言う。

「だから、今の私があるのはあなたのおかげ」

僕は少し照れ臭くなって目をそらす。

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