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3話

始業式が終わり、僕たちはクラスに戻ってきた。普通、転校生が来たとなれば周りにクラスメイト達が集まりいろいろと話をするはずだが、朝のあの挨拶のせいか誰一人として話しかけない。そう、まさに僕たちのクラスには触れてはいけない大きな地雷が投下されたような空気であった。


「あなた、どこかで見た顔ね」

彼女はそんな雰囲気の中で僕に話かけた。

内心僕はやめて欲しいと思いながらどうしようもなくなり彼女とコミュニケーションをとることにした。

「ああ、昨日音楽室で君に会ったよ」

「昨日の、冴えない男が君か」

彼女から話かけてきたのにとてつもなく大きな態度をとることに僕は腹が立つ。

「ピアノ昨日引いてたけどコンクールとかに出てるの?」

「ええ、もちろん全国で一番しかとったときがないわ」

彼女はここではない遠くを見ながらそうつぶやく

「私はね、ピアノの天才なのそう誰もがうらやむ」

確かに、彼女の演奏を音楽室で聴いたときにはほかの同級生が奏でるものとは違った言葉では表すことのできない何かがあったのは確かだ。

「確かに、昨日のはすごかった」

「当り前よ、誰が弾いてると思ってるの」

彼女は腕を組みながらそう言う

「そんな、天才がなんで、こんな平凡などこにでもあるような中学に来る来たわけ?」

僕は自然とそんなことを彼女につぶやく

「それは、、、」

彼女は言葉を詰まらせて言いよどんでしまう

しばらくの間僕と彼女の間に沈黙が流れる

  


「ねえ、鳳凰さんピアノが上手なの、私もピアノやってたんだ今度聴かせてよ」

風花に向かってクラスの中心人物でありいわゆる陽キャのリーダーをしている一ノ瀬澄が話かける。

「いやよ、なんで私があんたみたいなよくわからない女のためにピアノを弾いてやらなきゃいけないの」

風花はそう言い澄のことを拒絶する

「せっかく話かけてやってるのにどうしてそんな態度しか取れないの、どうせ転校してきた理由もろくなもんじゃないんでしょ」

澄はカッターナイフのような鋭い言葉を風花に投げかけるそう、彼女の心をギタギタに切り裂こうと悪意を持って。


「そう、あなたに私がどう見えようと私は気にしない。」

風花はただそれだけつぶやくとただ黒板をじっと見つめ始めた。その時、僕は、まるで周りに虫一匹寄せ付けないバリアが風花の周りに構築されてしまったように感じた。









そのあと風花に話しかけることのできる勇者は僕たちのクラスに現れることはなく、彼女はクラスに居てもクラスメイト全員からそこに存在していない空気のように扱われるようになった。














風花が僕たちの学校に転校してきて3週間がたとうとしていた。彼女は相変わらずクラスの空気として日々の生活を過ごしている。

「おい、仁帰ろうぜ」

授業が終わり、下校しようとしたとき友達の一人である海が僕にそう話しかける

「ああ、そうしよう」

僕と海は一緒に帰り道を普段と同じように歩いているとき、僕はいつも手に持って下校している弁当が入ったバッグがないことに気が付いた。

「やべえ、弁当学校に忘れた学校に戻らなきゃ」

「わかったじゃあ先に帰ってるは」

海がそうつぶやき、僕は忘れ物を取りに行くために学校に戻ることにした。



学校に戻るとそこには部活に励む運動部の生徒が校庭にちらほらいるぐらいで普段の姿とは少し違っていた。

僕は誰もいない校舎の階段を上り教室に到着する。その時だった、教室の机で寝ながら涙を流す風花を見つけるのは。

僕は、何かをしなければならないと思い彼女に近づこうとする。

すると、彼女はこうつぶやく


「私をここから連れ出して」


僕はその場に立ち尽くしてしまった






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