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短編・エッセイらしきもの

人生の一部の話

作者: 本谷文途

開いてくれてありがとうございます(^^)

 初めましての方は初めまして。久しぶりな方は大変お久しぶりです。

 今、とても久しぶりに、エッセイらしきものを書こうとしているところです。


 働き始めてから辞めるまでの、あまり口にしてこなかった話。

 ただ、こんなことを思って、こんな気持ちで、仕事をしていたんだなっていう自分の憂さ晴らし的な、ただの自己満足で、今までをざっくりと振り返る、そんな話。


 だから、面白くも楽しくもないかもしれない、もしかしたら共感してくれる方も居るかもしれないけど、嫌な話かもしれないので、この先は「見てやるよ」とか「気になるな」と思った方だけ、進んでください――。






 ……準備出来ましたかね?

 どのくらいの長さになるかわかりませんが、何か飲み物とお菓子をつまみながら、お付き合いくださいませ。



 高校を卒業した2016年の春、とあるスーパーに入社しました。

 最初の一ヶ月半だったかな、それは入社とともに、入寮という形で、その会社の挨拶なりなんなりを学んだりしました。


 就業規則や計数管理、接客応対など。お店に配属されるにあたって、必要な知識や技術を学んだりします。

 それから店舗配属になり、自分はスーパーの惣菜に配属になりました。


 お店にもよりますが、早い人は数ヶ月で他の店に異動になったりします。

 それは他の店で欠員が出たとか、新しい店舗を作って、そこに人員を割いたりで回したり……。

 ですが、自分は珍しく三年間そのお店にお世話になりました。


 一年目は右も左もわからないまま、教えられたことを一生懸命やる日々で、チーフ(部門を纏めるリーダー)にも迷惑を掛けながらも頑張って覚えていったと思います。

 二年目もまだまだですが、無理せず頑張りました。ですがこの頃、チーフの異動により、新しいチーフが来ることになりました。

 今までのチーフはまた違う店のチーフになります。


 二番目のチーフは自分とは合わないタイプの人でした。最初から合わなかったわけではないと思うのですが……。

 明るくハキハキと物事を話す人で、良い人そうだと最初は思いました。

 最初の方は分からないことを聞くと丁寧に教えてくれるのですが、段々と「そんなこともわからないの?」と教え方も雑になっていきました。

 たぶんそこから、段々と苦手意識が強くなりました。


 朝その人が居ると、今日は機嫌悪くないかな、大丈夫かな、と知らず知らずに考えるようになりました。

 「おはようございます」と挨拶をしても、聞こえていないのか、返ってこない日があります。

 他のパートナーさんやアルバイトさんが挨拶すると、普通に挨拶を返しているのに、です。


 気付けばその人と出勤が被る日は、胃の辺りが痛い気がして、深呼吸するようになりました。

 出来るだけ迷惑を掛けないように、分かることはちゃんとやろうと、やっていきました。

 ですが、自分で良かれと思って率先してやったことが「これ、誰がやったの?」と聞かれ、自分ですと答えると、「何してんの?」と明らかに機嫌悪く、叱られました。

 叱られるというより、怒っているに近いと思います。


 他にも従業員がいるのに、元からハキハキと話す人なので、自分に怒る時も周りに聞こえるように怒るのです。

 自分だけに注意するなら、周りに見えない所に移動してから言うか、周りに居たとしても自分だけに聞こえる声にしたりするとか、するもんじゃないのか……?

 その時の自分は、頭を下げるしかありません。それ以外にどうすればいいのか、その時の自分にはわかりませんでした。


 あとになって、パートナーさんにチーフのあれは言い過ぎ、本谷さんは悪くないと言ってもらえたので、とりあえず持ちなおしました。


 それからはもう、仕事は仕事と割り切って、割り切ったつもりでした。

 怒られないように、平穏に、毎日が過ぎるように。

 そして、ある日の朝、アラームが鳴っても起き上がれず、頭では行かないといけないのはわかっているのに、身体が先に悲鳴をあげました。

 社会人になって初めて、無断欠勤に近い形で休んだのです。

 親に申し訳ないのと、あの人に会いたくないのと、ごちゃごちゃになった感情は涙になって現れました。


 本来なら自分で連絡をしなくてはいけないのは分かっていましたが、あの人と話したくないのと、社会人になって初めて泣いた自分を見て、代わりに母が連絡を入れてくれました。


 「頭では分かってるんだけど、身体が動かない……」と泣きながら訴えると「そんなになるまで行かなくていい、辞めていいんだから」と母は言ってくれました。

 「そんなに泣くの初めてじゃない?!」と驚く母に、ごめんなさいとしか言えなかった……。


 少しの後ろめたさと、出勤日に休んでいるという優越感。

 親友に「仕事休んじゃった」と連絡すると「よくやった!」と返ってきて、思わず笑ってしまった。

 その日は朝から昼寝して、お昼ご飯を食べ、録画したアニメやドラマを観て、ゆっくりと過ごしました。


 翌日――。チーフからのお叱り。

 朝は体調の心配を軽くされ、仕事が終わる頃にチーフから言われたのは「休む時は自分で連絡する、学生じゃないんだから――」とか、よく聞くセリフで、そんなことわかってるわ!!と思いながら聞いていました。


 その件があってから、親友から「そんなクソ会社辞めちまえ!」と力強い言葉を貰いましたが、チーフが代われば変わるだろうという思いもあって、その時は辞めようと思いませんでした。

 今も親友に「なぜあの時辞めなかったのか、意味わからんわ」と言われます。

 自分でもよく分かりません。ただ、何となく、まだ頑張れると思っていたのだと思います。


 それからまた、チーフが代わり――。

 三年目に入っていきます。

 三代目チーフは、一番最初に店舗研修でお世話になった人で、とても親切な人でした。

 そこから精神も安定に向かって、徐々に回復していきました。


 四年目の途中、初めて異動の内示が出されました。

 今の店より遠くなり、朝も今までより早く、少し遅い夜まで。

 人には恵まれている方なので、新しい店舗の人たちは親切で仕事もやりやすかったです。

 人見知りなので、慣れるまでが大変でしたが……。


 その店のチーフは、自分と同期でした。

 自分より仕事の出来る彼を尊敬していました。

 そこでまた一年くらい働き、異動です。


 異動した日付けが、一月十五日。

 クリスマスから年末年始が終わり、一段落して、今度は節分に向け動き出します。

 早い所はクリスマスの時期から恵方巻の予約を始めている所もありますが――。


 異動してきてまだお店の人と関係値を築けていませんが、自分も予約を取るために各部門を回ります。

 毎年、去年の売上から今年の目標が算出され、店舗メールでどのくらい売るのか目標値が送られてきます。


 その月の二十九日――。

 チーフの親族に不幸があったため、三十日から一日まで休むとの連絡が入りました。

 ということは……。

 月末の棚卸しと朝のカウント、恵方巻の集計表(何日に何が何本とわかるようにしておく)をしなければならない――。


 棚卸しと朝カウント、恵方巻の集計表も何とか終わらせ、チーフに連絡をいれ、一日は終了。二月二日は休みになった。


 慣れない環境での朝から夜まで仕事。

 たぶん、疲れが溜まっていたのだと思います。

 二日は昼過ぎまで寝ていて、起きてもお腹が空かないので、少しの水分をとってぼんやりと過ごしました。

 その日の夜、いつも夜ご飯前にお風呂に入ってて、その日も普通にお風呂に入りました。

 でも、ほぼ何も食べていなかったのが悪かったのか、お風呂から出て、なんかぼんやりするなと思っていたら、音が遠くに感じました。

 (あれ……?)と思っている間に、身体を支えられず、気付いたら倒れていました。


 視界が真っ暗で、色々映像が流れて、これが走馬灯か……と思って、そしたら自分の鼓動と「はぁ、はぁ、」って息してるのが聞こえてきて、ゆっくり視界が開けてきて、真っ暗闇がどのくらいだったのかはわからないけど、母が自分の名前を遠くで呼んでて。

 もちろん遠くに聞こえるだけで、母は自分を抱きかかえるように近くで「大丈夫?! どうしたの!?」って訊いてました。

 応えられるようになってから、ゆっくり水分とって、ご飯とか食べました。


 その時裸で倒れたんですが、洗面所の所をカーテンで仕切ってるから、母がすかさずカーテンで身体包んでくれてて、醜態を晒さずに済みました。感謝。


 なんか、走馬灯みたいなの流れた時、一番最初に好きなマンガとかの新刊読めてないのに――、とかそういうのを思うんだろうなって思ってたんですけど、普通に(明日仕事なのに倒れてる場合じゃねえ)って思ったから、自分とんでもねえなと思いましたね……。


 そんなことがありつつ、恵方巻を終え、チーフが異動。新しいチーフがやってきて、色々教わりました。

 二番目のチーフを忘れかけてた頃、そのチーフから店に電話がかかってきたのです。

 発注が抜けたから、余分があれば貸してほしいとのこと――。

 商品化をするにあたり、材料の発注が抜けたりすると、近隣の店舗に材料を借りられるかの手配の電話をします。

 出来れば会いたくありませんでしたが、貸せる分があったので了承しました。


 借りに来てから他愛のない会話をしました。

 「もう本谷さんと同期でチーフやってない人いないでしょ、本谷さんくらいだよ? チーフじゃないの。頑張ってね、本谷さんは自信持った方がいいよ――」

 そう笑顔で話すその人に、胸がザワつきました。

 なんでこの人はそう簡単に言えるのだろう?

 散々人に言っておいてなんなんだ?

 確かに、五、六年も働いていればチーフになっていてもおかしくはないかもしれません。

 ですが、自分は上にいきたいと思ったことはないし、サブとして支えていけたらいいと思っていました。


 その人に色々言われてから、自分で何かをするのが怖くなっていたからです。

 良かれと思ってやったら怒られ、それからは何をするにも確認してからやろうと思いました。

 自分で考えてやってよ、なんて……。やった結果怒られるなら、最初から指示を仰いだ方がいいじゃないか。

 イベント毎に、毎回心をすり減らして、ふと思ってしまった。


 このまま、ずっとこんな生活が続くのだろうか?

 イベント毎に苦しい思いをして、自分は大丈夫なのだろうか?

 大丈夫と言い聞かせながら、ほんとはもうぼろぼろなんじゃ……?


 気付いてしまったら、ほんとにもうダメな気がして、ずっと蓋をしていたのだと思います。

 いつも、一定の期間で小さな波が起きていて、ダメかもしれない……と思いながら、もう少し頑張ってみようと、その波を越えてきました。

 けれど、今回来たその波を、自分は越えられなかった――。


 その人が来てから数日後、自分はチーフと店長に辞めたい旨を伝えました。

 今の人たちが悪いわけじゃなく、過去の積み重ねで、泣いて身体が動かないと言った日から、自分の中の“大丈夫”という基準が壊れたこと、自分で決定して動くのがしんどいこと、本当に心が壊れる前に、身体にガタがくる前に、辞めさせてほしいと――。


 あの人の話をしようとすると、涙が溢れて何も言えなくなってしまうのです。

 ちゃんと伝えたいのに、言葉に出来ず、ただただ涙が出て、悔しい。

 なんなんだろうか、なんでこんなにも腹立たしいのだろう、でも、もうどうでもいい――。


 店長は「わかってあげられなくてごめんね」と言ったけれど、そんなの当たり前で、これは過去の話だから。表面上じゃ分かるわけない。分かろうとしてくれたのは嬉しかったですが――。


 なんやかんやで、有給消化して、2023年の秋、退職しました。


 お世話になりましたと、一番最初の店舗と、二番目の店舗に手土産を持って挨拶をしに行きました。

 もう会うこともないだろうという、最後のケジメのようなものでした。


 一番最初の店舗は、最初からずっといる方に会って、お礼を伝えた。

 「まだ若いから大丈夫、無理せず頑張ってね」と言ってくれたパートナーさん。


 二番目の店舗は、例の人がいる店舗だった。

 手土産を持っていくと、「久しぶりだね、辞めるんだって? 本谷さんもこういうこと出来るようになったんだ、成長したね。ありがとう。色々大変だっただろうけど、お疲れ様。やっぱりあの店の人は個性が強いからなぁーー」と話し始めて、何言ってるんだろうと思った。


 自分が原因だとも知らず、無意識に人を傷付けるタイプの人というのは、こういう人なんだと痛感した。こういう人が一番厄介だと改めて思わされました。

 本人が気付いていないから。自分がこんなにも会いたくないと思っているのに、向こうは久しぶりだねと笑顔で返してきたのです。


 やった本人は忘れるが、言われた側はずっと覚えているんだと、何かで見た気がします。

 本当にその通りで、ずっと覚えてると思います。

 でも、嫌なことは忘れた方がいいのも事実で、ふとした時に思い出すけど、今の自分には関係ないと、そう思うようにしています。


 とりあえず今は、身体と心を休める期間として、しばらくはゆっくり過ごそうと思っています。


 だいぶ長くなってしまいましたが、ほぼ例の人への鬱憤と、愚痴になってしまいましたね、すいません……。

 ですが、後悔はしてません。今までモヤモヤしてたのを吐き出せてスッキリしました。


 これを読んだあなたが、自分の方がマシだなとか、よくわかるわとか、共感したり安心できていたら、何よりです。

 どうか、無理はしないで、頑張らなきゃいけないんだっていう人もいるけど、心身ともに壊れたら終わりだから。休める時に休んでください。


 あと、心配される方がいらっしゃるかもしれないので伝えておきますが、心身ともに異常は出ておりませんので、ご心配なさらず!

 ……一回軽い胃腸炎を患いましたが、一週間くらいで完治したので、大丈夫でしょう!

 あと、悪いところしか書いてませんが、楽しいことや嬉しいこともありましたので、ご安心を。


 では、最後になりますが、ここまでお付き合いいただき、ありがとうございました。

 あなたにとって、よい日々が続きますように――









よければ他のも読んでいってください(^^)

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