新入社員の回
ブラック企業(ブラックきぎょう、(和製英語で造語)またはブラック会社とは、「新興産業において若者を大量に採用し、過重労働・違法労働・パワハラによって使いつぶし、次々と離職に追い込む成長大企業」[1](今野晴貴による定義[1])を指す。「従業員の人権を踏みにじるような全ての行為を認識しつつも適切な対応をせずに放置している企業」[2]との指摘もある。対義語はホワイト企業。
Wikipediaより
「数字が人格」
もしかしたら、皆さまも聞いたことがあるかもしれない。まさに証券会社を1言で的確に表した言葉である。そういう私も、数字には常に振り回された。数字を制御したいと思いながらも、制御できない、まさにじゃじゃ馬。
「ノルマを達成して当たり前」
「ノルマを達成してない奴には発言権はない」
「ノルマを達成できない奴なんているの?」
「ノルマを達成できない奴は土下座して皆に謝れ」
「ノルマを達成できない奴には土日も祝日もない」
「ノルマを達成できない奴はできるまで帰ってくるな」
「ノルマを達成できない奴は…………」
こういう思考に犯された上司しかいないんだから、そりゃ大変なのは想像がつくよね。新入社員にはいきなりの洗礼かも知れない。まさにカルチャーショック! 夢や希望を持って憧れの証券会社に就職し、支店に配属したら、目の前に広がるのはこの光景。
ただ、新入社員には救いがあった。販売ノルマ、手数料ノルマの一色になるまでには、期間的な猶予があったんだ。それは、新入社員は1年生、2年目は2年生、3年目は3年生と呼ばれ、3年生までは【若手】と呼ばれる期間であり、勉強や経験や知識を積む為の期間とされていた。
若手の期間に課されるのは「新規開拓」だけだ。ただし、この新規開拓もめちゃくちゃしんどい。
当時は割り当てられた街に行き、片っ端からチャイムを押し飛び込み訪問。朝から100件200件とアポ取りの電話セールス。真夏も真冬もピンポンピンポン飛び込んで飛び込んで、電話をかけて電話をかけて。当たり前の話として、新規開拓にはノルマがあり(結局ノルマはあるんかい)、さらに若手社員達内でのランキングがある。圧倒的なまでの競争社会。The証券会社とは何かを学ぶ期間。
この若手期間に顧客を作り、勉強をし、ノルマを達成する事を体に叩き込み、若手期間を卒業をする。4年目からは何が起きるかと言うと、「副主任」という役職が与えられ先輩、上司達と同じように手数料を稼ぐというノルマが発生し、いよいよここで名実共に証券マンとなる。
前回のお話を覚えているだろうか。3年目には50%は退職をしている。勉強時間とは言え、競争社会やノルマに馴染まない人は離れていくことになる。
良く酒を飲みながら喋ったものだ。
「証券てさ、やっぱ、ブラックかな?」
その結論はいつもこれ。
「ブラックだよね」
「漆黒だね、漆黒」
「もういい加減、労基に通報しようぜ」