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わたし、ただのモブ令嬢なんですが??  作者: ぶらんこ
表ルート
8/24

なにそれ、聞いてない!


「…………………ねぇ、イザベラ?」

「は、はい」


 ギルベルト殿下は、わたしの話をお聞きになった。一度も口を挟むことなく、わたしの方をじっと見つめながら。

 そうして、出たのがたっぷりの間の後の、あの呼び掛け。

 ソファに座らず何故かわたしもギルベルト殿下もカーペットの上に座ったままで。

 ギルベルト殿下は胡座をかいて、わたしは土下座の名残の正座で。


「“わたくしよりも相応しい女性がいらっしゃるので、婚約をお断りしたい”というのは、本心からの言葉になると思うかい?」

「………………な、なりませんか?」

「なってたまるか」


 一刀両断。ゲームの優しく甘々なギルさまは何処。わたしの目の前にいらっしゃるのは、美しい瞳をキッとつりあげたギルベルト殿下だった。


「なにが楽しくて、求婚した女性に他の女を薦められなくてはならないんだ」

「だ、だって、」

「だって?」


 講堂でのあのやりとり。ギルベルト殿下は、チェーリアさまを探されて、頬を赤く染められたのではなかったの?

 チェーリアさまも、同じように赤く頬を染めていたから、わたしは。


「……ギルベルト殿下には、お慕いする方がいらっしゃると」

「私が慕うのはイザベラだがね」

「い、いえっ。わたくしではなく、」


 チェーリアさまです!と申し上げたいところを言い淀んでいたら、「ああ、」とギルベルト殿下が察してくださったような声をあげられた。

 ほらやっぱり、思い当たる節がおありじゃないですか。ていうか、ぶっちゃけ思い当たる節しかない、


「……もしかして、フラッツィ嬢のこと? 彼女はあくまで友人だよ。魔法能力の高さに関心をもったまで。やましい気持ちは一切ない。貴女が不安に思うなら、今後は声を掛けないし近寄らないよ」

「え、そっち??」


 あんなに可愛いのに? あんなにチート能力持ってるのに? この世界の、乙女ゲームの勝利を約束されたヒロインなのに?

 いやいや、いやいや。確かに驚きだけれどもわたしが考えていた節違いだ。


「そっちって? 他にもいたかい?」


 いるでしょう! 本命が! ド本命のチェーリアさまが!

 

「…………いっ、以前、講堂でお見かけしたときに、……殿下が見つめられていた方です」

「イザベラだけれど?」

「はっ、……いっ!?」


 わたし!? わたしなの!? 気のせいではなかっ、……いやいやいやいやいやいや


「でっ、殿下が、見つめられていたのはわたっ、わたし?! チェーリアさまではなく!?」

「チェーリア、……ええと、貴女が仲良くしているスーウェル伯爵令嬢?」


 あっさり答えられたギルベルト殿下に、思わず詰め寄ってしまった。で、うっかり口走ってしまったのだ。彼女の名前を。その後で口をおさえても、まるっきり無駄なんだけれども。


「あっ、いやっ、あの、ちがわ、ないんですけど違うのです殿下っ」

「………」


 最悪だわ、キューピッドとしてやってはいけないNG行動上位に入ることじゃないの! 好きな人に相手のことをバラすだなんて!!

 ああああごめんなさいチェーリアさま、わたしあんなに任せろだなんて偉そうにしておいてこんな失態を!

 ギルベルト殿下も殿下で、口もとに手を添えて何かを思い出すよう考えていらっしゃるし。


「成程ね。貴女は、友人のスーウェル伯爵令嬢の為に、私との婚約を断りたいわけだ?」


 わたしのばか、ばか、大ばかちょーばか!


「その顔は図星といったところかな。ふむ、そうか。彼女の為か」

「よ、読まないでくださいまし!」

「分かりやすいイザベラが悪い」


 だからって、読まなくてもいいじゃありませんか! 

 やっぱりこのギルベルト殿下、わたしの知ってるギルさまと全然違うのですけれど!? なに、亜種? ギルさま亜種でも出てくるのこの世界線!


「なら、その気遣いはもう不要だ。すでに彼女から告白されてお断りしたからね」


 …………………告白されて、お断りした?

 チェーリアさまが、ギルベルト殿下に?


「…………へ、は?」


 はっ、初耳、なんですが??

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