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920話 夢幻の女神討伐戦・9 【レナ視点】

明日からは最終章開幕となります!

幽閉王女は魔女になるを、どうぞ最後までよろしくお願いします!!

 その声に振り返ると、作戦には参加していなかったはずの大神様とスティアがいた。

 宝石を調べていたシリアが立ち上がり、やや険しい声色で問いかける。


「大神様……。これは一体、どういう事ですか」


「どう、とは?」


 その反応に、直接問いかけたシリアだけではなく、その場にいた全員が一瞬怒りを顔に表す。

 その中でも最も感情的になっていたのは、誰でもなくシリアだった。


「私は、シルヴィがこのようになるとは聞いていませんでした! 物理、魔法による干渉すら阻まれ、神力も通用せず、生死の確認すらできないことを、何故黙っていらっしゃったのですか!?」


「それを知って、お前達はどうするのですか?」


「どうって、こうなることが予測できていたのであれば、この宝石から救い出す方法を講じられたはずです!! それすらもさせてもらえず……! 私達は、あなたにとって都合のいい駒でしかないと言う事ですか!?」


「シリア、その言いかたはちょっと――」


「貴様は黙っておれ!!!」


 フローリアに咎められたシリアが、これまで見たことが無いくらいの形相でフローリアを睨みつけて怒鳴る。

 その圧に委縮したフローリアがあたしの裏に隠れ、若干怯えた様子を見せる。

 そんなフローリアには用はないと言うかのように、シリアは再び大神様へ食って掛かった。


「以前から疑問には思っていました。何故、同じ神でありながら私だけは何も教えてもらえないのかと。何故、同じ世界の均衡を保つ存在として日々管理に務めながらも、私や他の神々に必要最低限しか教えていただけないのかと。そしてそれは、今のあなたの言葉で全て理解しました」


「大神様。あなたもソラリアと同じです。所詮は自分とは異なる矮小な存在でしかない生物には、教える価値すらないと思っているのでしょう。違いますか?」


 怒り。失望。そんな負の感情が強く出ているシリアは、返答次第では杖を抜くんじゃないかってくらいに思える。

 だけどそのシリアの怒りは、ここにいるあたし達全員の総意でもあり、この世界に生きる者として当然の怒りだと思った。

 そして、その怒りの矛先を向けられていた大神様からの返答を待っていると。


 隣にいたメイド服姿のスティアが無言でシリアに近づき、思わず目を背けたくなるほどの威力でビンタを繰り出した!


「……は?」


 自分に何をされたかが分からない。いや、分かっているけど理解ができないと言った感じのシリアに、スティアが冷たい声で言う。


「身の程を弁えなさい。今、自分が何を口にしたのか、本当に理解していますか?」


「当然じゃ!! 貴様こそ、何をしたか分かっていような!?」


 シリアは杖を取り出し、一気にスティアに向かって突撃する。

 それに対し、スティアは小さく溜息を吐くと周囲に青白い煙を出し始め――。


 煙が晴れるまで十秒にも満たなかったはずだけど、その僅かな時間でシリアが組み伏せられていた。


「これもあなたには伝えていませんでしたが、運命が分かると言う事は、あなたがどういった行動を取るかが手に取るようにわかるのです。いわゆる、未来予測という物です」


「貴様ぁ……!!」


 あのシリアが、ほんの一瞬で無力化させられている。

 その事実にあたし達が驚愕していると、今まで沈黙を守っていた大神様が口を開いた。


「スティア、その程度にしておきなさい。シリアの言い分にも一理はあります」


「ですが……」


 大神様はゆっくりと歩きだし、シルヴィが囚われている赤い宝石へと向かっていく。

 そして、宝石にそっと触れながら大神様は言葉を続けた。


「神々が世界に干渉し過ぎてはいけない。そのためには、先に起こる出来事を知る者は、常に最小限でなくてはなりません。そしてそれは今回も同様です。お前達にこの真実を告げれば、必ずお前達は無理やりにでもこれを壊す方法を探るでしょう。――これがシルヴィの心を守る物であると知らずに」


「何じゃと……?」


「大神様、それってどういうこと? シルヴィは、望んでその中にいるの?」


 訳が分からないあたしに、大神様は小さく頷く。


「そうです。シルヴィはソラリアを通して、自分という脅威を知ってしまった。一歩間違えれば、容易く世界の形も変えられてしまう。人はおろか、神々でさえも殺められてしまうと。だからこそ、自分を封印することを決めたのです」


「そしてこれが」と大神様が虚空に手をかざすと、キラキラと光の粒子が空に向かって伸びていく。

 やがてそれは激しいモザイクとなり、徐々に灰色の建物へと変わっていった。


 それは、あたし達が良く知る物で、シルヴィにとってはトラウマでもある物で。


「……心を閉ざした彼女が自身を幽閉した、心象世界の塔です」


 どこまでも高くそびえ立つ、無機質な塔が姿を現したのだった。

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