730話 魔女様達は話し合う
今話で今章が完結となります!
明日は新章開幕で2話投稿予定ですので、お楽しみに!
「シュタール、貴女はどうしてそう血の気が多いんですの?」
「うちかて好きでケンカしとった訳とちゃうで!? 領主に会わせーって向かったら、いきなり剣を向けられたさかい。こらもう突破するしかあらへんかーって思うやろ?」
「いや、そこで突破するしかないってなる時点でなんか違くない……?」
「まぁまぁ、そないなこまいことはどうでもええやん! それよりも、やっぱしウチ以外の領主は全員やられとったみたいやで」
シューちゃんはそこで一度言葉を切ると、二の腕に軽く力こぶを作りながら「全員どついてやったから、今はすやっすややけどな!」と笑いました。
どついてやった、が何を指すのかはよく分かりませんが、レナさんとレオノーラがげんなりとした顔をしていることから、恐らく良くない意味なのでしょう。
レオノーラは頭痛を抑えるかのようにこめかみに触れながら、疲れきった声を出しました。
「……とりあえず、ご苦労様ですわ。あとは私達でやりますので、貴女は手出ししないでくださいまし」
「何でそないな冷たいこと言うん? うちかて仲間やろ? 乗り掛かった舟やし、最後まで付き合わしてや?」
「貴女に任せると被害が大きくなるからですわ!」
「なっはっはっは!」
「笑い事ではありませんわよ! もうっ!」
「……あー、それで? 何でシューちゃんだけ記憶干渉を受けてなかった訳?」
本人の登場により、話が脱線してしまっていたところへ、レナさんが修正を試みます。
それに対し、シリア様が答えました。
『恐らくじゃが、此度の記憶干渉の術式は“一定以上の魔力を持つ者”を対象に行われたものじゃ。人間で測れば相当高いが、魔族で測れば並程度じゃからな。それで魔族領からは妾達との接点を奪えると踏んだのじゃろう』
「シュタールは魔力が使えないので、その対象から外れていたという訳ですわ」
「まさか、うちの欠点がこないなところでメリットになるやら、思うてもみなかったやんな。人生、何があるか分からへんねー」
「全くですわ」
うんうん、と頷くシューちゃんと、深い溜息を吐くレオノーラ。
どう反応すべきか分からなかったので、とりあえず、苦笑いを浮かべておくことにしました。
『で、じゃ。シュタールも揃ったことじゃし、本題に入るとするかの』
「えぇ。先の記憶干渉の術式を受けたことで、ある程度はその波長を読み取ることができましたわ。そのため、今後は魔族領内に配置された術式に対し、この魔王城と同じように偽装魔法で干渉し直していく……と言うところまででしたわね?」
『うむ。妾が作った疑似神創兵器で、あの効果を防ぐことができるのは証明済みじゃ。まぁ、そもそもはシルヴィの魔力や神力を想定して作った物じゃからな。この程度防げなくてどうする、と言ったところではあるのじゃが』
シリア様はそう言うと、ちらりと私を横目で見てきました。
そう。私達がここ一か月ほど動き続けていた作戦は、“私が魔術師の手に墜ちた後、魔女が手出しできないように世界が改変されること”を見越した対抗策でした。
十中八九、私の力の使い方を知っているソラリア様によって、心象世界の創造魔法を悪用され、世界が書き換えられてしまうだろうというスティア様の神託を受けた私達は、それに対抗すべく、表向きは魔術師が書き換えた世界と思わせておきながら、裏で反撃の準備を整える手筈を進めていたのです。
その一歩として、向こうから想定通りの攻撃を仕掛けられたのは、レオノーラ達には申し訳ありませんが、ある意味僥倖だったのかもしれません。
「魔術師だけでこの効果範囲だから、シルヴィが使ってきたらどうなるかなんて考えたくないわね……」
「そうね~。下手したら、天界にも影響が出ちゃうんじゃないかしら」
『可能性としては十二分にあり得る話じゃ。何せ、ソラリアの目的は妾達神々への報復じゃからな。ターゲットにされていてもおかしくは無かろう』
「とりあえず、今は魔族領内に仕掛けられた物に細工をするステップですわね。ですが、流石の私達でも、魔族領内全てに加えて人間領まで見るのは限界がありますわよ?」
『それについては案ずる必要は無い。妾達も手分けして仕込んでおくからの』
妾達、という単語に自身が含まれていることに気が付いたフローリア様は、食べる手を止めて目を大きく見開きました。
「えぇ!? 嫌よ私! そういう細かい作業は得意じゃないの!」
『杭を打ち込むだけの作業に、細かいも細かくないもあるか! このたわけが! 食って寝て贅肉を肥やすだけではなく、たまには神らしく働け!!』
「いやぁ~!! 働きたくなぁい!! あ、でもレナちゃんが一緒なら考えてもいいかも?」
「何であたしにやらせようとしてんのよ!?」
「だってぇ~!!」
何ともいつも通りですね……と苦笑しながら、レオノーラからいただいた香草焼きを一口頬張ります。
柔らかな豚肉から溢れる肉汁に、香ばしいハーブの香りが混ざり合っている絶品料理を楽しんでいると、シリア様はやれやれと首を振りながらフローリア様へ言いました。
『レナとシルヴィは他にやることがあるから無理じゃ。貴様は妾を手伝え』
「えぇ~!!」
「え、あたし達は何か別の作業があるの?」
ちょうど同じことを聞こうとしていた私も、手を止めてシリア様へ視線を向けます。
私達の視線を受けたシリア様は、ひとつ頷くと。
『お主らには、最後の仕上げを施す必要があるからの』
と、何となく嫌な予感がする回答をするのでした。
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