番外編 魔女様のハロウィン・リベンジ編 ~エルフ達と一緒~
露出も高く、あまり人前には見せられないこの格好ですが、同じ女性であるスピカさん達ハイエルフなら、いくらかはマシかもしれません。
そう考えた私は、ウキウキと足取りの軽いエミリ達と共に、ハイエルフの集落へ訪れることにしました。
「スピカさーん!」
「ん? おぉ、待っていた……ぞ……!?」
エミリの呼びかけに振り向いたスピカさんが、信じられないものを見たような顔を私へ向けてきます。
小走りでハイエルフの集落まで来たため、少し息が上がってしまっている呼吸を整えながら、私は彼女にバスケットを差し出しながら言いました。
「と、トリック・オア・トリート、です」
「これは驚いた! まさか魔女殿か!?」
「はい。シリア様に、変身用のチョーカーをいただきまして」
「なるほどな。いやはや、魔族が妹殿達と行動を共にしていると勘違いするところだったよ」
スピカさんはそう笑いながらも、「少し待っていてもらえないか」と言い残してご自身の家の中へと戻っていきました。
きっとお菓子を取りに行ってくださっているのでしょう、とエミリ達と心待ちにしていると、私達を見つけたハイエルフの方が黄色い声を上げました。
「きゃあ~!? 嘘、魔女様!? ちょっとやだ可愛すぎ!! みんな来て~! 魔女様がすっごい仮装してるわよ~!!」
その声に、家の中や畑を弄っていた皆さんが一斉に振り向き、私の姿を見つけるや否や、全ての作業を放り出して駆け寄ってきました!
「きゃあああああ! 魔女様可愛い~!!」
「これ魔王様とお揃いよね!? や~ん! やっぱりそういう事なの!?」
「普段の魔女様なら絶対に着ないえっちな服! それを恥じらいながらもお菓子貰いに来る魔女様とか! もういくらでも野菜が食べられるわ!!」
「「分かる~!!」」
「ちょ、ちょっと皆さん! やめっ、きゃあ!?」
「ちょっと見て見て!? 普段ローブで隠してるけど、魔女様こ~んなにお腹くびれてるわよ!?」
「でも二の腕はもっちもち! あぁ~、ずっと触ってた~い!」
「見て見て! 魔女様も可愛いけど、エミリちゃんとティファニーちゃんも可愛いわよ!」
「エミリちゃん可愛い~! ねね、イタズラしちゃうぞって言ってみて!?」
「うん! お菓子くれないと、イタズラしちゃうぞー!」
「「可愛い~!!」」
「ティファニーちゃんも! ほら!」
「こ、こほん……。お菓子をくださらないのなら、イタズラしちゃいます!」
「「きゃあ~! イタズラして~!!」」
も、もう何が何だか分かりません!
全身を調べるかのように撫でられたり、角や髪を触られたりしている内に、一人が私の尻尾に興味を持ったらしく、そちらへ手を伸ばしてきました。
「尻尾はアクセサリじゃなくて、ちゃんと魔女様にくっ付いてるのね! これ、感触あるのかしら?」
「ひゃんっ!?」
尻尾の付け根からするりと撫でられ、これまで感じたことのないくすぐったさに変な声が出てしまいました。
即座に口を押さえるも、時すでに遅く――。
「ね、ねぇ魔女様! 今の声もう一回聞かせて!?」
「魔女様、これがいいの!? こう? こう!?」
「こことかもいいんじゃないかしら!?」
「やっ、あぁ!? やめっ、やめてください!」
「ど、どうしようティファニー!? お姉ちゃん、なんか大変そう!」
「スピカ様を呼びに行きましょう! ティファニー達では助けられません!」
「うん! ……スピカさぁーん!! お姉ちゃんが大変なのー!!」
「うん? お、おいお前達! 魔女様に何してるんだ!?」
エミリ達がスピカさんを呼びに行ってくれたおかげで助かりはしたものの、私は全身をくすぐられ続けていたせいで全身から力が抜け、しばらく立ち上がることができないのでした。




