0話 幸せな王女は夢を見る・2
お話は一旦、夢ではない王女様としてのシルヴィの視点へと戻ります。
以降、章の始まりには幸せな王女様であるシルヴィのお話が挟まれますので、
夢の中の魔女であるシルヴィとの物語を楽しみつつ、こちらもお楽しみいただければと思います!
広く、大きなテーブルに用意された朝食を、私とお父様とお母様が囲みます。
そしてお父様のいただきますに続き、私とお母様も朝食に手を付け、楽しく談笑しながらの朝食が始まりました。
「ほう、それはまた賑やかな夢を見たのだな」
「はい! 森の人達はとても陽気な方々ばかりで、何かと逞しい筋肉を見せつけてくるのです」
「ふふふ! あなたが筋骨隆々ではないから、シルヴィが憧れの男性像にしちゃったのかしら?」
「む、うーむ……。今からでも鍛え上げるべきか?」
「ううん、私は今のあなたの方が好きだわ」
「お父様、私もお父様にはそのままでいて頂きたいです。彼らは少し、圧が強かったので……」
困ったように笑う私に、お父様達も笑い出しました。
そして和やかな朝食が終わり、食後のお茶を頂きながらゆったりとした時間を楽しみます。
私は夢のシルヴィのようにお友達には恵まれませんでしたが、こうして大好きなお父様とお母様に囲まれているので、何一つ不自由はありません。お城で働くメイドの皆さんもとても優しくしてくださいますし、王位を継承するその日まで、この幸せが咲き誇るお城の中で立派な女性になれればと思います。
お父様とお母様が仲良くお話しされている間も、お二人を見ているだけで温かな気持ちでいっぱいになります。夢のシルヴィは歪な形で家族という関係を作り上げていくことになりますが、彼女もとても幸せそうに毎日笑っていました。きっと、どのような形であったとしても、家族というものは温かく居心地の良い空間なのでしょう。
「それでシルヴィ、さっきの夢にはまだ続きがあるのか?」
「はい、まだまだ沢山あります!」
「そうかそうか。ならば、私と〇〇〇にも教えてくれるか?」
一瞬、お母様のお名前のところだけ上手く聞き取ることが出来ませんでした。
ですが、お父様もそれなりのお年ですから、呂律が上手く回らなかったのでしょうと苦笑し、夢の続きをお話しします。
「もちろんですお父様! 夢の私がささやかな家族を手に入れた後、今度はお友達が増えることになるのですが――」




