45話 女神様は救出する 【フローリア視点】
今回で詰所へと向かっていたレナ達の回想は終わり、次回から新章が開幕します!
お話の核心へと迫る展開をご用意しておりますので、ぜひお楽しみに!
レナちゃんが落ち着くと、ロジャーくんの言っていた簡易結界が崩れ、どこか分からない洞窟の中に戻された。
「とりあえず、出口はあっちかしら」
レナちゃんを背負い、これからどうしようかと考えていたところに、マジックウィンドウが現れた。誰かの魔術かしらと注視していると、ぼんやりと男性のシルエットが浮かび上がってきた。
『初めまして、【刻の女神】フローリア様』
「あら、私を知っているの? 私の信徒って感じはしないけど」
『えぇ、私は貴女様の信徒ではございませんが、高名な女神である貴女様のことは存じ上げております』
やだぁ、高名だって! 意外と人間達に知れ渡ってるのね私! 嬉しいわ!
そんな感情を出さないように気を付けつつ、よそ行きの笑顔を張り付ける。
「ふふ、それはありがとう。それで、何のご用かしら? 見て分かるかもしれないけど、私ちょっと戦える状態じゃないのよ~」
『ご安心ください、私は貴女様と事を構えるつもりは全くございません。この度お話しさせていただいておりますのは、先の戦いで見逃していただいたロジャーの件で、恩返しとさせていただければと思った次第です』
「恩返し?」
『はい。貴女様がお探しの勇者一行の元までの道のりをお教え致します』
そう言えば「人に優しくすれば自分にも帰ってきますよ」って、誰かがいつも語ってた気がするけど誰だったかしら。今ならその言葉がちょっとだけ信じられそうね。
「ありがとう! それじゃあ遠慮なく、お言葉に甘えちゃおうかしら。……あ、そうだ。もう一個お願いついでに聞いてもらっていいかしら?」
『今の私に叶えられるものならば、何なりとお申し付けくださいませ』
「私達がここを出るまで、追手の魔術師とかを寄越さないって約束してもらえる?」
これは単純に、意識の無いレナちゃんと戦力としては心細すぎる勇者ちゃん達を、私が護りきる自信が無いから。神力は結構使っちゃったし、体は痛いし、今襲われるとちょっと分が悪いのよね。
そんな私からの申し出に、その人は即答した。
『分かりました。洞窟内部に控えている魔術師には、撤収するよう命令を出させていただきます』
「ありがとう~! それじゃ、勇者ちゃん達の場所を教えてもらえる?」
『はい。今いらっしゃる場所から右手に進んでいただき――』
詳しい道順を教えてもらい、何回か復唱しながら道順を覚えた私は、早速助けを待つ彼女達の元に向かうことにした。
「教えてくれてありがとうね! 親切なあなたに、女神の祝福を!」
『恐縮でございます。それでは、私共はこれで失礼させていただきます』
「はぁい♪」
直後、マジックウィンドウが搔き消えると同時に、こっちだよと言わんばかりに右側の洞窟の壁が光った。遠隔で魔術を操作できるなんて、なかなか凄い魔術師さんね。
「さてさて、私も移動しようかなっと」
レナちゃんを背負い直し、私は言われた通りに移動を開始することにした。
「お待たせ~! 元気にしてたかしら?」
「あ、あなたはフローリアさん!? なんでここに!?」
牢屋の柵越しに挨拶をした私に、修道女っぽいけど少し華美なドレスの子が驚いた。確かこの子は、サーヤちゃんだったかしら?
「あなた達が捕まったって聞いて、助けに来たのよ~! セイジくんの方は、シルヴィちゃん達が向かってるから安心してね」
「……ごめん、なさい。ボク達、役立たず」
しゅんと項垂れているのは、夜猫族のシーフ――アンジュちゃんね。お皿を割っちゃった時のエミリちゃんと同じように、耳をしゅんとさせているのが可愛らしいわ!
「ううん、魔術師と領主が絡んでいたんですもの。無理も無いわ」
さっきと同じように小さなナイフを作り出し、牢の錠前を斬って壊すと、三人は申し訳なさそうにしながら出てきてくれた。
「あ、あの……。助かりました、ありがとうございます」
「うふふ! お礼を言える子は好きよ?」
少し気まずそうにしながらも、そうお礼を述べたのは魔法使いの子。ええと、メノウちゃんだったかしら。レナちゃんに似た性格だけど、レナちゃんより素直になれない子なのね~。それも可愛いと思うけど♪
「さぁて、あとはここから脱出して、シルヴィちゃん達と合流しておしまいね!」
私がそう言った瞬間、地面が大きく揺れ始めた。
これはレナちゃんの世界でいう“地震”ってやつかしら?
サーヤちゃん達がきゃあと可愛い悲鳴を上げながら、三人で身を寄せ合ってしゃがみ込んでいる光景に和んでいると、遠くからエミリちゃんの声が聞こえてきた。
「フローリアさーん!」
「エミリちゃーん! こっちよー!」
エミリちゃんはパタパタと私の元まで駆け寄ってくると、息を切らせながらも私に報告し始めた。
「あの、あのね! 大きな蛇が、地面から飛び出してきたんです!」
「蛇?」
首を傾げる私に、エミリちゃんの頭の上に留まっていたメイナードくんが補足してくれる。
『我とエミリで反対側の捜索を行っていたところ、怪しげな人物がいたので魔術師かと判断し、攻撃を行いました。するとその人物は、何かを召喚して自分は転移で逃げ出し、洞窟のさらに地下から巨大な蛇が出現したのです』
「あら! その蛇は今どこに?」
『地上へ向かって行きました。恐らく、この揺れは地上で暴れているがために、地下に響いていると見て良いでしょう』
「分かったわ、急いで向かいましょ!」
これはちょっと、シルヴィちゃんの治療を待ってられないかもと思い、レナちゃんのために何本か貰っておいたポーションを、亜空間収納から取り出して走りながら飲む。爽やかな苦みの後に、シルヴィちゃんの魔力が優しく体の中を駆け巡り、レナちゃんにやられちゃった場所が少し癒えていく。
「ぷはっ! ホントに凄い効き目ね~これ、貰っておいて良かったわ!」
『フローリア様。その傷とレナを見る限り、相当厳しい戦いだったのでは』
「んふふ! 厳しかったけど生きてるから問題なしよ! 相手は逃げちゃったけどね」
『そうですか』
「あ、フローリアさん! あそこ、外に出る階段です!」
エミリちゃんが指差す階段を駆け上り、地上に出た私達は、夜の街を蹂躙する大蛇に呆然とするしかなかった。
夜のお祭りを楽しんでいた街の人達は悲鳴と怒号を上げながら逃げ惑っていて、中には怪我をして動けない人もいるみたい。
もう、何でこう次から次へとやばめのトラブルが起きるのかしら!? 今日は厄日ね!
「ちょっと手分けして行動しましょ! 私とメイナードくんはあれの攻撃を引き受けながら陽動! メノウちゃんとアンジュちゃん、あとエミリちゃんは街の人を外に避難させてね! サーヤちゃんは怪我人の治療! 一通り終わったらレナちゃんも診てくれると助かるわ!」
「分かりました!」
「行こう、メノウ」
「えぇ、急ぐわよ!」
「頑張ってね、メイナードくん!」
『我の事は気にするな。街の人間共を頼んだぞ』
「うん!」
慌ただしく各自の役割をこなしに動き始める傍らで、私はウィズナビを取り出してシルヴィちゃんに連絡を試みる。
シリアが付いているとは言え、向こうは大丈夫かしら……。
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