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37話 魔女様のポーションは効き目抜群

「魔女様助かりました! ありがとうございます!」


「あ、お代どうすっか……。食料や日用品の倉庫もぶっ壊されちまって、渡せるもんが残ってねぇ……」


「いえ、今回はお代は結構です。すみませんが、ハイエルフの皆さんの元へ急がないといけないので失礼しますね」


「うっす! お気をつけてー!」


 全員分の治療が終わり、やや疲労感が襲う体に鞭を打ってメイナードに乗った私は、シリア様達が先行しているハイエルフの集落へと向かいました。

 こちらも獣人の村まではいきませんが中々に悲惨な状況で、家が建てられていた巨木は何本かなぎ倒され、吊り橋も崩され、収穫した野菜や果物が散乱しています。


 一見怪我人の姿はありませんが、シリア様がどこかへ集めているのでしょうか。


 人影のない家をメイナードの背中から覗きながら探していると、スピカさんの家の前で家主が両手を振っていました。


「魔女殿ー! こちらだ!」


「スピカさん! すみません、お待たせしました!」


 スピカさんの前で降ろしてもらうと、彼女は心配そうな表情で私に尋ねてきました。


「大丈夫だったか魔女殿? 家を飛び出して音信不通となってしまっていたようだが……」


「はい。色々ありましたがこうして無事ですので、ご心配には及びません。それより、私が不在のせいで森が大変なことになってしまってすみませんでした」


「いや、魔女殿が謝ることじゃない。我々も改めて、この森の恐ろしさを痛感していたところだよ」


 苦笑しながら言うスピカさんは、「中でシリア殿が待っている」と家の中へ案内してくださいます。彼女に続いて屋内へ入ると、殆ど目立った外傷も無いハイエルフの皆さんとエルフォニアさんが談笑していました。


 私の姿を見つけたエルフォニアさんは、私に状況を教えてくださいました。


「お疲れ様シルヴィ。こっちに残っていた魔獣は片付けておいたわ。怪我人はシリア様が持ってきたあなたのポーションでほぼ全快してるから、心配無さそうよ」


「あっ、魔女様おかえりー!」


「魔女様のポーション、初めて飲んだけどすっごい効き目ね! 腕が折れてたのにもう治っちゃった!」


「私も魔獣の毒でやられて死ぬかと思ってたんだけど、シリアちゃんが持ってきてくれたポーションでケロッと治っちゃったの! 流石魔女様!」


 どうやら、私が作っていたポーションで大方治っていたようです。効き目はディアナさん越しにしか聞いたことはありませんでしたが、彼女達の中には噛まれた跡が残っている服にべったりと血が付いてしまっているのに、その内側は綺麗な肌が見えていたりする方もいらっしゃるので、話通りの効能のようです。


 とりあえず重症そうな方はいないと安心していると、私の足元に歩み寄ってきていたシリア様が感心するように言いました。


『しかし、お主のポーションは桁外れの効能じゃな。さっきまで死にかけておったハイエルフもおったが、今ではピンピンしておる。こんなものが市場に出回ったら、医者や神官が廃業に追い込まれるやも知れぬのぅ。くふふっ』


 それはそれで困りものですねと苦笑していると、ウィズナビに誰かから着信がありました。

 取り出して確認すると、ペルラさん達の酒場へと向かって行ったレナさんからでした。


『あっ、もしもしシルヴィ?』


「レナさん、そちらはどうですか?」


『こっちは大丈夫! ペルラがゲイルと連絡が取れる魔石を持ってたみたいで、あたし達が戻るまでの三日間護ってくれてたんだって! もうボロボロだけどね』


「ゲイルさんが……。分かりました、後で治療に向かうので待っていただくよう伝えて貰えますか?」


『了解ー! そっちはどう? 何か手伝うことは無い?』


「はい。こちらも獣人の皆さんとハイエルフの皆さんの治療が終わった所なので、怪我人の保護という意味では大丈夫そうです」


『そっか、それは安心ね。それじゃあたし達、このままこっちで待ってるわね!』


 レナさんはそう言い残し、通話を切りました。

 今の話をシリア様に伝えると、全力で走ったエミリとそこそこの数を相手に戦っていたエルフォニアさんを休ませたいとのことで、私とメイナードだけで向かうことになりました。


「何度も飛んでもらってすみません。ありがとうございます、メイナード」


『ふん。主の空の足になるのが、我の本来の契約だろう。気にするな』


「ふふっ、そうでしたね」


 風を切りながらそう笑いあう私達は、レナさん達が待つ酒場へと飛んでいきます。

 ゲイルさん一人で三日間護ってくださっていたようですが、大丈夫でしょうか……。

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