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手紙  作者: 名鳥 佑飛
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第10話

 山田は、かつて一人で座ったベンチに向かって歩いていた。そこで自分が書いた手紙を思い出していた。


上本さんへ

お元気ですか?

この文章を見ているということは、回復の方向に進んでいるのだと思います。

あのとき貰ったあなたが書いた手紙

実は菊池が書いたドッキリの手紙だと決めつけてしまいましたが、今思えば、あいつの顔はいつもと違っていました。

このように考えるようになったのもあなたと同じ学年だった亀澤さんのおかげです。

これからは何事も決めつけず、相手の立場になって物事を考えるようにします


最後にあなたには酷いことを言ったり、手紙をなくしてしまったり、とても残念な思いをさせてしまいました。

でも、僕はあなたのことを気になっていました。

あのような行動をしてしまったことを今でも反省しています

あなたは僕に震える手で手紙を書いてくれました

だから、次は僕があなたを心から支えたいと思います

回復したら、こうして手紙を送ってください

いつでも待っています。また会いましょう。


山田より


 そのベンチに座っていた上本は手紙を読み終わると、目の前に山田がいた。久々の再会に喜ぶ二人は同じ学年となり、講義室に向かうのであった。

 ただ、山田には一つ分からないことがあった。山田がなくした手紙には上本から助けて欲しいというお願いが書かれていたが、それは亀澤と菊池が留学でいなくなるという理由であった。しかし、菊池が帰ってきた今上本さんの隣にいる意味には別の意味があるのではないかと…。分からないことはまだあるが、それはいつか聞くことにしようと山田が思ったのは空が曇りでもなく、雨も降っておらず、真っ青に雲ひとつない景色が広がっていたからである。


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