表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/6

【漆黒の闇の中から】

真っ暗で、静寂と孤独に包まれた世界に...男は立っていた。


いや、厳密には少し違うか。


漆黒なのは男の心だった。真っ暗な自分の中で、虚に自分を見つめていた。



よく、未来に希望を持てないことを「光がない」なんて言うが、男はその言葉の意味を痛感していた。


未来に望む気すら起きないのは、彼に過去が存在しないことも理由のひとつだろう。


彼の人生には時間の流れというモノがそもそも無かったのだ。


それがどれくらい辛いことか。


比較することも出来ず、羨むことも出来ず、男はただ苦しんでいた。



「絶望」という言葉が脳裏をよぎったが、すぐに否定する。


そもそも「望」がないなら、それが「絶する」ことはありえない。



過去や未来を知らず、望むことも知らず、自分という存在すら知らないこの男に、ある日彼は接触した。



彼がしたことは単純だった。


たったひとつの提案をしただけだった。



彼の提案は異常だった。


理性のある人間なら一言で蹴るだろう。


「非現実的」という言葉がついてくるような代物だった。


男も、それが常軌を逸していることは理解していた。



しかし乗るしかなかった。



「自分」という存在を確立させるために。



最後に彼は、旅のお供にと男に一本の武器を渡した。


深碧に輝く二本のラインの入った、不思議な形のものだった。


彼はそれを「ショットガン」と呼ばれる物だと教えた。




「目的」と「手段」を与えられた男は自分の心から出て、外の世界へと踏み出すのだった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ