闇の中に差す光は見えるけど掴めない
こんばんは、今回は「闇の中に差す光は見えるけど掴めない」です。
これは一年ぐらい前に書いた話なのですが、今読んでも共感できたので書き直したものです。
ただ6.6万字から8.5万字ぐらいになったのでだいぶ変わってますが。
あらすじ
”武門の名家”と呼ばれる下級貴族のオーガスタ家に生まれたアイルは武術よりも魔術の勉強が好きだった。
しかし騎士団長の父からは騎士を継ぐことを強要され、市民には武術が下手なことを嘲笑われる。
そんなアイルの元に圧倒的自由さを持った女剣士ナユタが現れる。
彼女は生まれに囚われたアイルの価値観を破壊し、人生に救いをもたらすが……
他人に救いを与えることが出来ても、自分に救いをもたらすことが出来るとは限らない。
テーマは一言でいうと、「求めているものは与えられない」です。主人公もナユタも不幸そうな雰囲気(?)ですが、二人とも求めるものを持っていないだけで実はそこまで悪くない境遇だったりします。
主人公は独学で勉強した魔法の能力がまあまあ開花してます。騎士の家という生まれも多分同じ世界の人から見たら羨ましいものだとは思います。基本貴族は世襲なので普通の人はどんなに頑張っても貴族にはなれませんし。ただ、それでも本人は別に騎士にはなりたくないし、剣術よりは魔法を勉強したいという気持ちが強いです。
一方のナユタも圧倒的実力を持ちながらも一緒にいられる人が著しく限られています。しかもナユタの希望に沿う人はアルナのようにおそらく全員に対して優しい人になってしまうので、気持ちが満たされない確率が高いです。そして主人公はナユタに尊敬の念を抱いていますが、ナユタは尊敬されることは特に嬉しくないといういびつな関係になっています。
そして主人公はナユタに幸せになって欲しいのでナユタとアルナがうまくいって欲しいと思いつつ、特に自分のことは意識してくれないナユタの近くにいるという状況です。
それでもナユタとの関係を縮めようとする主人公の努力はどこに行きつくのか。
また、最初の方でナユタが主人公を助ける(?)シーンがありますが、あれは主人公にとっては人生を変える出来事でも、ナユタにとってはよくある日常の一幕だったりします。そんな、「自分にとっては大事だけど他人から見てもとるに足らない」(逆もまたしかり)というのも一つのテーマだったりします。
そう思って見るとセレナの真相も少しだけイメージが変わるかもしれません。