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たとえ異世界であろうとコンプレックスは直らない件  作者: 製造物
序章、異世界召喚された王國編
9/22

狂気の始まり

番外編、とまでは言いませんし、本編に重大な関係がありますので読むこと推奨!

ただし細かいことは気にしねぇぜ!って方は別にいいよ!

 〜??〜


 その部屋は昼間にも関わらず恐ろしく暗かった。

 窓はカーテンで塞いでいる。

 部屋の魔道具による照明もない。

 扉には鍵がかけられている。

 そして外からこの部屋を遮断するようにベッドや机が無造作に放置されていた。


 光も他の人影もない部屋。


 代わりに忙しない呻き声がその部屋には渦巻いていた。


「ぁあああぁああぁああぁぁぁああああああああぁぁぁあーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!」


 それは凄惨な断末魔にも聞こえるものであった。

 ただ一度たりとも途切れず、命を燃やすようにその咆哮はその部屋を揺らす。


 やがて単なる呻きは怨嗟の呪いへと変わり果てる。


「ぁあぁぁぁああぁあぁぁ!!! なんであんな奴にぃ!!! おかしいよなぁああぁあ!! 力は俺の方が明らかに上なのに!!? なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで酷い裏切りだなんでなんでなんでふざけてるなんでなんでなんで笑わせるななんでなんで力が全てだろうなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでお前が好きだなんでなんで見ろよ俺をなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでおかしいおかしいなんでなんでなんで俺に笑えよなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで選べよおれをなんでなんで俺が強いのになんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで愛してるなんでなんでなんでなんであんな奴になんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで全部狂ってるなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで狂おしいなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで黒輝如きになんでぇええええぇぇええぇ!!!!!????」


 暗い部屋に染み付く紅い匂い。

 食いしばった歯茎から。

 叩きつけた両の腕から。

 見開いた瞳から。

 認めないと振り続けた頭から。

 吹き出して、振りまいて、染めていく。


 紅い血が何度も何度も空を舞う。

 それはまるで空気を汚染するように溶け込んで血飛沫となる。


 もはや痛みなど感じない。

 周りなど彼の眼中から消え去った。

 そこに悲しみなどありはしない。

 愛などという小綺麗な概念は崩れ落ちた。


 怒りだ。

 彼を支配する物は地獄のマグマでさえも沸騰するほどの煮えたぎった憤慨。

 全てが自分の思うようにいかない世界への怒号。

 自身に応えない人形への癇癪。


 それらは全て憎々しいただ一人に込められ、ドロドロとした憎しみを零す。


「くろきぃいぃいいいいイイィイイィイィィイイ!!!!!」


 醜悪にも彼は指で頰をなぞり、やがて爪で抉る。

 じくじくと赤が染み出して、やがて泡となり頰を伝う。


 見ているだけで痛々しい傷。

 だがそのような痛みなど忘れたように彼は何度も抉り、削り、掘って、潰す。

 現実から抜け出すために。

 彼は痛みに縋る。


 やがて頰から肌という部位は無くなった。

 おぞましく所々損傷している頰の筋肉が剥き出しになっているだけだ。


 だがまだ足りないと指を頰に添える。

 そして指に力を加えてーー


『ほう。面白いことをしておるな。貴様』


「!!?」


 誰もいるはずのない部屋で声が聞こえた。


 慌てて彼は辺りを見渡す。

 だがそこには人影どころか変わった点が何一つたりともない。


『安心しろ。我は貴様の脳内に直接話しているだけだ』


「…何の用だぁ? 今俺はすこぶる機嫌が悪いんだぞぉ!!?」


『我はその近くには居らん。故に魔法でその辺りを撃とうが我に意味はない。それよりも大人しく話を聞かんか?』


 彼が掌に発生させた炎の球が見えたのか、そう彼に言い聞かせた。

 たしかにそれならば周りに気配がないのも頷けた。

 大人しく魔法を解除し、床に座る。


「チィッ! …んで? 何の用だよ!!?」


『ふむ…礼儀がなってはおらんが良いだろう。では貴様、名を名乗れ』


「北村 亮! これでいいんだろ!! 早くテメェも名乗れや!!」


『【独裁】、とでも言っておくか…』


「意味がわかんねぇよ!!」


 暗闇の中、北村は謎の言葉と会話を交わす。

 ここにもし人がいるならば北村の精神状態を気にかけただろう。

 なぜならばただ一人、血だらけの床に座り一部筋肉が剥き出しになった少年がブツブツとつぶやいているのだから。


 だが北村はそんなことも気にかけずに【独裁】の目的を訪ねる。


 するとそんな【独裁】から放たれた言葉は一つ。

 だがその言葉は恐ろしく彼に響いた。


「黒輝 勇馬、この男を殺したくはないか?」


 彼は輪郭も見えない悪魔の手を取った。

………(北村って改稿していく度にヤバくなってくなー)

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