18、雷撃の弾幕
すみません、めちゃくちゃ遅れましたー!!
というのも修学旅行準備、および旅行、および慢心王様と大変だったんです。
本当に申し訳ございません。
さてそんな旅行中、狼をふと見かけました。(動物園行ってたら)
やっぱ強そうですね。
今回はそんな狼と主人公がやりあいます。
【並列思考】使用
【天眼】使用
【持久】使用
【アイテムボックス】使用
【剣術】使用
【闘術】使用
それらを発動して刹那の瞬間、光の弾丸がそこらを跳弾する。
ガガガガガガガガガガッ!!!!
けたたましく鳴り響く岩の研磨する音。
【天眼】に基づき、俺は横切る雷閃を視認して避けていく。
避けた閃光は壁に脚をつき、再び飛ぶ。
頭を狙った大胆な一撃。
俺は屈んで避ける。
今の所、例の十字架狼が攻めに移行する気はないらしい。
だが入り口に立っている所を見ると俺を逃す気はないらしい。
己の子供の成長の糧にでもしたいのだろうか。
脚に狼が迫る。
俺は横にスライドするように細かく飛ぶ。
腹に迫る。
これもまた横に飛んでいく。
ここで大袈裟に上に飛んだり、横にアクロバティックに回転して避けたりはしない。
一匹だけ、とかならばそれもいいのだが何と言っても数が多い。
あのような動きは一対一の状況だからこそ意表を突いたりなど有効性がある。
しかし逆に相手が多ければ空中での浮遊中に殺さねかねない。
有難いことにコイツらは途中で進路変更したりはしないらしい。
避けることは中々に難しくはない。
『条件を満たしました。称号【避ける者】を獲得しました。それに従いスキル【幻影】を獲得しました。スキルレベルは3です続いて条件を満たしました。スキル【雷撃耐性】のスキルレベルが6に上がりました。続いて条件を満たしました。スキル【持久】のスキルレベルが8に上がりました』
レベルアップが尽く起こる。
そりゃあこんな数との戦いだ。
上がらなければ天の声様に文句を言ってやる。
それでも状況は俄然不利。
相手の数が多い上に控えには最悪の狼。
しかも攻撃する際には雷によるダメージを食らわねばならない。
【アイテムボックス】による射出ならば遠距離でも戦える。
しかし以前言ったように【アイテムボックス】による剣の射出は集中力を一気に割く。
【並列思考】によって他にも意識が回せるが、【天眼】や避ける動作がブレる可能性がある。
詰まる所、俺に今反撃できる術はない。
だがその中で狼の癖、それらしきものがいくつか発見できた。
・狼の攻撃は直線でしか攻撃できない
・狼は統率は取れていない。狼同士が衝突し合うことも少なくない。ただしそれでは死なない
・狼は突進を終えた、また静止した一瞬のみ雷撃が終わる
特に最後のは隙さえつければ有用な情報だ。
狼の雷は矛であり盾だ。
突貫した敵の身を貫き、振り下ろす拳を塵芥に返す。
動きが遅い魔術師にも接近戦を得意とする戦士にも相性最悪となる。
なるほど、邪神が十字狼をこの森で5番目と言ったのも納得できる。
その配下でさえもこの速度、この威力。
岩を易々と削り焦がす威力は脅威でしかない。
それでも問題はない。
ここで俺は後ろに大きく飛んだ。
狼はそれを好機と捉えたのだろう。
雷撃の弾丸が正面からいくつも迫る。
そこで左手を雷に翳す。
ここで凄く後出しみたいな物なのだが、森で生活している間に俺は色んなものを採集していた。
そしてその中で結構硬めな石を見つけた。
更にある程度前方にやるだけならば、剣を矢の如く飛ばすよりも集中力の使うリソースが少ない。
即ち、何が言いたいかと言えば。
「【アイテムボックス】、散開」
ドドドドドドドーーーーッッ!!!
その石飛礫を前方に炸裂させられる、ということだ。
案の定、その礫は幾らかは雷撃に捕らえられた。
しかし石の礫は雷撃の盾を貫いた。
恐らく奴らは防御力自体は低いのだろう。
目を抉り、肌を裂いて、骨は砕け、血の花がそこらに咲き誇った。
これでも何体か生き残っている。
しかしそれでも頭によって集中がおろそかになっているのか、雷の音は止んでいる。
そして俺はそれが復活するまで待つような酔狂な人間ではない。
唯一無二の俺の必殺剣、黒光りの剣にこめる力を強める。
やはり変わらずこの質量は重い、とは感じるものの不思議と手に馴染んだ。
そして狼に迫り、すれ違い様にその首を切り落とした。
残るは二匹、しかしその内一匹は目を、もう一匹は足をそれぞれ失っている。
『条件を満たしました。称号【獣殺者】を獲得しました。またそれに続いて称号【雷殺者】を獲得しました。それに従いスキル【雷撃耐性】、【雷撃攻撃】を獲得しました。スキルレベルは8と3です。また【剣術】のスキルレベルが6に上がりました。また【闘術】のスキルレベルが6に上がりました』
そして俺は2体の狼もまた糧にしようとした。
しかし圧倒的な何かがそれを拒んだ。
肩にかかる重力が不意に重たく感じた。
「お前、か」
十字の傷を負った狼。
奴はようやく立った。
配下を傷つけられ、傍観を止めたが故か。
己の敵と認めたが故か。
どちらにせよ俺には関係ない。
恐怖はある。
一度腕を喰われた敵だ。
壮絶な痛みと刻まれた恐怖は何度でも再起する。
今でも逃げたいほどだ。
しかし逃げるのは選択肢にはありはしない。
背中を向ければ奴が俺を瞬く間に食らう。
今度こそ復活はないだろう。
それに、だ。
ようやくコイツに敵と認められた。
そう思えるから。
逃げない。
黒の剣をしっかりと握った。
邪神のあの言葉を聞くからにこの刃は奴に届くだろう。
問題は俺だ。
地面が爆ぜる音。
果たしてこれは俺か、狼か。
突貫する狼を余所に俺は柱へと足を伸ばした。
狼はそれを見たのだろう。
黄色い雷閃の軌道が曲がる。
俺はそれを【天眼】で捉える。
レベルが初期とは段違いのこのスキルは優に狼の姿を捉えた。
俺はここで天井へと逃げる。
狼はそれを追撃する。
天井で俺は自身の速度を利用し、天井を走る。
それを狼は更に喰らい付く。
壁まで辿り着くと俺は下に逆三角飛びにより着地。
すぐにその場から逃れる。
狼は先程までいた場に即座に突っ込み、溜めてから突撃。
速度は先程までとは大違いだ。
ここで俺は石飛礫をアイテムボックスから使う。
1つ1つが肌を抉る一撃。
しかしこれを稲妻は物ともしない。
雷爆。
爆ぜるスパークは石飛礫を飲み込み、余すことなく溶かした。
やはりここで配下との差を見せつけられる。
しかし呆けてもいられない。
狼は弾丸の如く迫る。
今度取り出したのは剣の数々。
ランダムに弧を描きながら狼を斬らんと飛ぶ。
それでも狼は止まらない。
軌道も。
速度も。
ましてやスパークも。
全て変わることなく突貫し、余す全てを溶かしてゆく。
ここでようやく俺は狼が戦わなかった理由を理解した。
巻き込まないためだ。
恐らくはこの狼が最初から出ていれば、配下はほぼ全滅しただろう。
俺一人の死を利としてもあまりにも重すぎる。
だからこそ俺一人ならば大丈夫だと狼は逃げ道を塞ぐことに専念した。
計算違いがあったとするならばそこだろう。
俺の成長、狼にとってはそれは急激なものであったのではないだろうか。
だとするならば、今ここで俺が勝つ算段。
それは速攻で決めること。
狼は未だに一度たりとも雷撃を止めていない。
常に矛と盾を翳し、悠然と走る。
俺の速さでは奴の全力には追いつけない。
数秒か持たせるのが限界だろう。
だが、それで十分。
俺は回り込み柱を盾に左手を構える。
狼はすぐに迫るだろう。
勝負は一瞬。
慢心は許されない。
「【アイテムボックス】…最大輪」
やがてすぐに雷の落ちる音が轟いた。
爆砕
崩落
撃沈
柱の末路を狼と俺は同時に見届けた。
そして狼は殺意に湧いた目をこちらに向け…
瞠目した。
吹き飛ぶ脚。
それは紛れもなく狼のもの。
相当の痛みだったのだろうか。
狼は止まらなかった進行を止めた。
同時に雷撃の光は消えた。
銀の剣が煌めいた。
狼は体を捩り、剣から逃れる。
毛先をいくつか削り、剣は通過した。
黒の剣は今、奥の壁に突き刺さっている。
これは俺が【アイテムボックス】で一旦収納し、飛ばした。
【天眼】、【並列思考】、【アイテムボックス】
この三つだけを使用し、吹き飛ばした剣は精密かつ音速で狼に迫った。
ここで残念な点は狼にある程度剣が見えていたこと。
そしてそれに反応し、逃れようとしたこと。
幸い脚だけは刈り取れたが、それさえも果たせていなかったらと思うとゾッとする。
最悪、死ぬことすらもあり得た作戦だ。
我ながら一か八かが過ぎたと思う。
しかし相手が直線で迫る以上、こちらもこれでいくというのが得策でもある。
結局は己を囮とするしか方法は無かった。
本当に上手くいって僥倖、というものだ。
「さて、終わらせるか」
壁にささっている剣を抜き、俺はアイテムボックスにしまう。
今、【剣術】は低い上に近寄るのもよしたい。
故に弓道もどきに頼るしかない。
【剣士】何ですけどね!?
【闘士】何ですけどね!?
三つのスキルを重ね、剣を虚空に照準を定める。
黒の剣での【アイテムボックス】飛ばしは慣れてはいないが、あの重量じゃなければ狼は死なない。
最早狼は血にまみれていた。
濡れた殺意を目に含み、こちらを睨む。
だが俺に同情の念はない。
「安らかに…死んでくれ」
俺は剣の弓を飛ばした。
次回! あの邪神、再び!!




