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たとえ異世界であろうとコンプレックスは直らない件  作者: 製造物
一章、二度目のダンジョン編
13/22

11、弱者の自尊心

一章! ついに開幕!

とはいえまだ序盤なのでバトラないです。

 …めちゃくちゃ見覚えあるところじゃん。


 俺は生き返った場所でそんなことを思っていた。

 見渡す限り、森森森。

 そんで遥か向こうに見える高い壁。


 …おう、前俺が死んだところじゃん。

 なんて悪趣味な所に転生させてくれがったんですか?

 あの邪神のクソ野郎めが。


 只今の天気は清々しい晴れ。

 ただし地面は多少濡れている。

 ここ最近、雨があったのだろう。


 ここでいくつか疑問が。

 …今、俺が死んでからどれだけ時間経ったんだろうか?

 よく思えば聞いておけば良かった。

 俺にしては単純なミスをしたように思える。


『一応、お前が死んでから10時間後だが?』


「…ロキか? ヒマなの?」


『いやー、ヒマっちゃあヒマだねぇ〜。ヨルちゃんが全部やってくれるし』


『やってあげているのでは無く、貴方が働かないからです。…[怠惰]を謳歌しないでくださいますか?』


『やー、そう言いながらやってくれんじゃん。ヨルちゃんったらツンデレ〜。…あ、あと黒輝 勇馬ー。チートなんもあげなかったからいくつか質問いいぜー。ホレ、カモンカモン』


 どんだけヒマなんだろう…この邪神。

 普通はこっちが「質問させてください!」なんて聞く立場のはずだ。

 だと言うのに向こうから質問してくることを催促してくる始末。

 この邪神、恐ろしい存在ってのはわかってるはずなんだが油断してしまう。

 …なんか、この、ダメなニートがオリンピック会場で選手として出るレベルで気落ちする。


 だがこの質問タイムは無駄にせん。

 と、言うわけで。


「じゃあすまんが早速一つ目だ。ここはあの森でいいんだな」


『詳しく言うと『ハルヴァナイ大森林』の深部一歩前だな。ちなお前が前狼と会ったのとこはまだまだ浅い箇所。おたくの勇者パーティーでもまだこんな場所までは無理。アルベルトって奴ならある程度はクリアできそうだな。この森、まだダンジョンとしては格下だし』


 …え? ここで格下ってマジかよ。

 ここで死にかけた俺馬鹿らしい?


「…なんてとこに俺はいんだよ。…まぁ、気を取り直して二つ目だ。あの狼はこの森でどの程度まで強い?」


『…え? もしかしなくてもおたく…アレにリベンジする気?』


「勿論だ。やられた借りは100倍で返してやる」


 俺、割と復讐心旺盛なんですよ?

 プライドも高めですし。

 だから北村もそうだし、こっちの世界に娯楽全開で連れて来やがったテメェも許さん。

 イミスたちはそれに比べて軍事利用とかまともな理由なので今思えば相当マシ。

 おそらくはイミスも召喚成功の秘密に自分たちが嫌う邪神の好奇心が入っているとは思ってないだろうなー。


『…お前の心意気はけっこーなもんだが…やめときなー。アレはこの森で5番目に入る。ちな1069種のモンスターの中で、な。なんたってアイツの攻撃はーー』


「あ、ストップ。もういい」


『…ゔぇ?』


 俺は狼の詳しい情報が聞こえてしまう前にストップをかける。

 それに「え? 予想外なんですけど?」的な困惑の声が出ている邪神。


「これ以上聞くと前対策ができちまうだろ。勝てたとしても胸糞悪いわ」


『…んじゃ、他に聞きたいことはーー』


「ないです」


 キッパリと物申しましたとも。

 ええ。

 たしかに俺はいくつか質問あるって言ったけどこれだけよ?


『おま、正気? いやー、俺が言うのもなんだけどー。マジで? 雑魚のお前なんざ一発KOじゃん? だったら話聞いといた方がいいと思うんだけど?』


 …確かに雑魚だが。

 せめて歯に衣を着せろ。

 言ってることが正論で多少頭が痛い。


 だがこれは決めたことだ。


「言ったろ。俺にチートは一度の復活だけで十分。俺が自分で成り上がってやるって決めたんだ。流石に場所と目標が分からんのが困ったからお前に聞いただけ。それ以上お前に質問したらチートだろうが!」


『…お前の命を捨てることになってもか?』


「お生憎様、死ぬときにすらも、敵の力が十分に分かってても結局諦めきれずに捨て身で敵を殺そうとした男だからな。俺のプライドは一級品だぞ?」


 本気であの時挫折したからなー。

 アイツら強すぎだし。

 だが許さん。

 ボロボロになってでも倒す。


 だがアイツらを倒すために邪神の力を借りても本末転倒。

 俺が恨むべき異世界転生の根っこを作りやがった奴だ。

 そんな奴の力を借りても俺は満足しない。


「分かったらもう黙ってろ。ついでに俺の成長ぶりに感嘆でもしとけ。パパッと追いついてやるからよ」


 邪神に今は敵わない。

 敵として合間見えることも無理だ。

 この森でも雑魚に過ぎない。

 俺の目標は遥か彼方。

 この森を抜け出しても北村が、どこまで洗脳されたかわからない北村の支配下がいる。

 弱小者の孤独の旅だ。


 だが不思議にも。

 それを自覚しても。

 なお俺に芽生える感情は…


「待ってろクソ野郎ども」


 これからに対する高揚だ。

 やっとここから俺のファンタジーが始まる予感がするから。

 こんな子供臭い感情は無縁だと思っていたが割とあるようだ。


『なら…見せてみな、黒輝 勇馬!! 楽しみにしてるぜ、お前の冒険を! グッドラック!!』


 邪神からの声はようやく消えた。

 俺はようやく冒険を始められる。

 強者になるための旅を。


 そのためにまずやることは…


「アイテムボックスの中身の確認だな」


 俺の冒険は非常に地味なことから始まるのだった。

あと最近アルファポリスでも始めましたよ。

ただしこっちの方が話は進んでます。

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