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たとえ異世界であろうとコンプレックスは直らない件  作者: 製造物
序章、異世界召喚された王國編
10/22

8、地獄は入る者を拒まない

改稿完了ですね。

「皆様ー! 準備はできましたかー!」


「「「「「Yes、Sar!!」」」」」


「それではダンジョンにゴー! です!」


「「「「「YEAaaaaaaaaaa!!」」」」」


「ただしあまり深いところには行かないでくださいねー!」


「「「「「了解であります! Sir!!」」」」」


「…なんだこれ?」


「ダンジョンに行くんだよー、勇馬くん! 楽しみだよねー」


「…俺、非戦闘員のはずなんだけどなー」


「でも勇馬くんの場合、戦えるからねー。仕方ないでしょ」


「ま、仕事サボれるしいいか」


「…なんかもう勇馬くんの考え方って本当にブラック企業の会社員になってるよね」


「?」


 ちなみにダンジョンについて説明したいところなのだが…その正体はよくわかっていない。


 とりあえずわかっているのはモンスターが出現すること。

 そのモンスターから取れる素材は中々の代物だということ。

 ダンジョンは死骸を取り込むということ。

 深部に行けば行くほどモンスターが強くなって行くこと。


 せいぜいこの程度でいくつかあるダンジョンの共通点もまたその程度。

 今回行くダンジョンは森の形式であり、外にモンスターが出ないように高い壁で覆われている。

 これは昔、名も知られない英雄レベルの冒険者がたった一人で森を覆い尽くしたらしい。

 森の雄大さを考えれば相当な魔力を使用していることになる。

 …つくづく魔法の存在が羨ましい。


 この森においての深部は中心により近くこと。

 中心に行けば行くほどモンスターの質は強くなる。

 その辺りは注意して行かねばならない。


 壁にはいくつか入り口としての扉がある。

 これもまた巨大な門であり、よほどの力がないと開かない。

 なんだかそれ如きの力もない冒険者は去れ! という圧力を感じる。

 気の所為だろうか?


 ただうちの怪物といっても問題ない戦闘組は軽々と開けた。

 中には片手で開けるやつらもいる。

 嫌になっちゃうなー。


 という俺も一応開けることはクリアした。

 ただしギリギリのギリではあったが。


「勇馬くん。顔真っ赤だったよー!」


「…アゲハ」


「なに?」


「お前は扉を片手で開けるほどにゴリラになってしまったのか…」


「!? 違うよ! 私、乙女だよ!」


「蓮の方が100倍程度乙女だわ! お前よりも明らかにアイツの方が乙女だわ!」


「酷っ!!」


 そんな軽口をアゲハと交わす。

 正直にいうとここにアゲハがいないと俺、ほぼ孤立コースだったので危なかった所だ。

 最悪、愛坂とアルベルトさんの方に混じるという方法はあるものの何かしらの洗脳をされそうな上にアルベルトさんの邪魔をするのは忍びない。


 他の奴らとは基本的に喋らないので正直ありがたい。


 するとある騎士が俺に声を掛けてきた。

 騎士は兜を深くかぶっており、目が影に重なり見えなくなっている。

 本人見えてます?というレベルだ。


「クロキ殿。すみませんが貴方は私と別行動です。申し訳ありません」


「…ゔぇ?」


「恐らくはクロキ殿は他の方々のレベルにはついていけないと思われますのでここよりも多少浅い場所での戦闘訓練となります」


 だったら俺をここに連れてくるなよ…。

 だが事実なので仕方がない。


「つーわけで行ってくるわ、アゲハ」


「…付いて行こうか?」


「…お前は過保護な親か!? あとお前はお前で訓練あるだろ! 行ってこい!」


「うん! そっちも頑張ってねー!」


「おう。後でな」


 こうして俺とアゲハは別れた。

 互いに背中を向け、アゲハは前へ。俺は後ろへ進んで行く。

 その進み方がまるで俺たちの間にある力の溝を表しているようだった。


 ..................................................


 こうして俺と騎士の一人は共に進んで行く。

 騎士の名前はヤスルト・フィーナ。

 …名前が某国民的ドリンクに似ていることは割愛しておいてほしいものだ。

 騎士としてはそれなりの強さなのだろうか?

 いくら浅いといっても俺と彼一人だけではどんな危険があったものかわかりはしない。


 すると俺はあることに気がつき、止まった。


「どうされました?」


 ヤスルトは俺の方を見て不思議そうにこちらに近づいた。

 その歩みは焦っているように見えた。


 だがそれは許さない。

 アイテムボックスから引き抜かれる刃。

 切っ先をヤスルトに距離を取る。


「近づかないでください」


「…なんの真似でしょうか?」


 未だに目は影で隠れていてよく見えない。

 だがこれだけはわかる。

 ここから逃げなければならないことは。


「なぜ貴方は私に刃を向けているのですか!?」


「逆になぜそちらは俺を深部に追いやろうとしてる?」


「…わかっていたのですか?」


「歩幅でわかる」


 そう、俺は今先程アゲハ達と別れた場所よりさらに深部にいる。

 これはヤスルトが先ほど述べていたあそこよりも多少浅い所での訓練、という言葉に矛盾が生じる。

 この時点で俺がヤスルトに抱く警戒心はマックスだ。


「そうですか…バレていましたか。クックックッ…」


「誰の差し金だ?」


「我が王の命令で御座います」


「イミスか?」


「違いますね。あのような下郎に従えてはおりませぬ」


「だったら犯人は誰だ?」


 すると彼は自分の兜に手を伸ばした。

 そして覗いた目は…醜悪な黒色を帯びていた。


「…なんだ? その目は?」


「我が王より授かった力の代償で御座います。数時間はこの姿ですね。そのかわりに力は倍増致しますのでそれほど悪くはありません」


「へぇ、戦うってか?」


「いえ、私ではありません。私はあくまでも貴方が逃げないか、傍観するだけで御座います」


 だったら誰が? そう尋ねようとした途端にそれは現れた。


 避けられたのは偶然というべきか。

 それとも【直感】の恩恵か。


 黄色い閃光が迸った。


 地面を焦がし、木を無残に灰とし、先ほど俺がいた場所を突き刺す。

 まさしく落雷そのものであった。


 黄色いスパークが弾け、黒い野獣が現れる。

 左目に十字の傷を負った漆黒の狼。

 野生の殺意が俺を貫いた。


「貴方が戦うのはこの森のスピードファイター、【黄色い弾丸】です。さあ、この森の脅威を恐れ知るがいい!」


 殺意に濡れた狼が足を踏みしめた。


 恐らくはその速さは俺と同等。

 つまりはこの勝負は逃げ切れるか捕まるかの二択。


 地獄の門はもうすぐそこまで来ていた。

次回! 勇馬さんに秘策はあるのか!!?

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