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45 ずっと一緒




 リグはゆっくり、私の側まで寄ってきます。


「どうしたのです、リグ」

「あら、それはわたくしのセリフでしてよ」


 リグは言って、私を後ろから抱き締めてくれます。

 暖かいのです。

 ああやっぱり……私はもう、1人でやっていくなんて考えられないのです。


「ファーリ。貴女、サイクロプスと戦ってからずっと何かに悩んでいるようでしたけれど。どうなさったのかしら?」


 ああ、リグには見抜かれていたのですね。

 できるだけ、顔には出さないように気をつけていたのですが。


 私は、リグには本当のことを話したいと思います。

 だから包み隠さず、考えていたことを言葉にします。


「……私、みんなの迷惑になっていると思ったのです」

「あら、それはどうして?」

「私は、いつも手加減をしています。封印で力を弱めて、カミさまに貰った特別な力をできるだけ使わないようにしています。それが、チームのみんなの迷惑になっていると思ったのです」


 私が言うと、リグは私の頭を撫でてくれます。


「そんなわけありませんわ。ファーリがいてくれて、みんな助かっていますのよ」

「でも、オークが帰ってくるのに気付けませんでした。私がちゃんと、スーパーサーチで周りを調べていれば、もっと早く、上手く逃げられたはずなのです」


 そして、みんなを――リグを、サイクロプスの脅威に晒すことだって無かったはずなのです。


 私の心を、また黒いもやもやした感情が埋めていきます。


 けれど、それを止めるようなことが起きました。


「――あむっ」

「ひゃうっ!?」


 リグが、私の耳を噛んだのです。

 驚いて、何がなんだか分からず、パニックになってしまいます。


「ちょっと、リグ、やめ……っ!?」


 リグは私の耳を、けっこうな強さで噛みます。

 痛くて、恥ずかしくて、私はひたすら身悶えしてしまいます。


「もう、リグ!? いたいのです、ひゃうっ!? んぅ……」


 しばらくそうしていると、ようやくリグは耳を開放してくれました。


「――おしおきはこれで十分かしら?」

「あう……なんのことなのです?」

「良くないことを考えたことに対するおしおきですわ」


 言うと、リグは私をよりいっそう強く抱き締めます。


「……バカなことを言わないで、ファーリ。貴女は確かに、強い力を持っていますわ。でも、そんなものを理由に貴女へ責任を押し付けるようなこと、誰も望んでいませんわ」


 責任、と言われて、なんとなく自分の感情が理解できました。

 そうです、私は責任を感じていたのでしょう。

 強い力があるから、守ることが出来るから、そうしなければならないという責任がある。

 だから私は手を抜くことを、自分の責任から逃げているように感じていたのです。



「ねえ、ファーリ。わたくし、貴女のことが好きよ」

「はうっ!?」


 いきなりの言葉に、私は驚いて声を上げてしまいます。

 けれど、リグは構わず話し続けます。


「強いファーリが好き。手加減をするファーリも好き。あまえんぼさんのファーリが好き。お間抜けでおバカさんなファーリも大好き。全部、わたくしの大切なファーリなのです」


 好き、と何度も言われて、私は顔が紅くなります。


「だから、わたくしの大好きなファーリを、貴女自身が否定するようなことをしないでくださいな。わたくしは、ファーリがどのような選択をしても、それに文句を言うことも、怒ることもありません。貴女の力なのですから、貴女が思うように使いなさい」

「リグ……」


 不思議と、私は涙が溢れてきました。

 ああ、リグの言うとおりです。

 私はなんて馬鹿なことを悩んでいたのでしょう。


「私も――大好きなのです。リグのこと、お姉さまのこと、アンネちゃんのことが大好きなのです!」

「ええ、分かっていますわ」

「だから……もっと頑張るのです。それで、みんなと一緒にいたいのです」

「ええ、そうですわ。わたくしたち、チームですもの。ずっと一緒ですわ。だから自分を責めてばかりいないで、気楽になりなさい。チームはファーリだけのものじゃないのですから。わたくしたちのことも、信用してくださいな。ファーリがちょっと手加減したぐらいでは危なくならないよう、わたくしたちも一緒に頑張りますから」


 リグは私に語りかけながら、ずっと頭を撫でてくれました。

 そのおかげなのか、リグの言葉はすうっと私の心に染み込みます。

 私が、強い力を持っていると知ってからずっと感じていた重たい何かが、溶けていくようにも思えました。


 ああ、やっぱりリグは最高のお友達なのです。

 私の心を、こんなにあっさり癒やしてくれるのですから。

 魔法よりもずっと素敵なことです。



 そのままずっと、私とリグは一緒にいました。

 リグに抱き締めてもらったまま焚き火を見ながら、哨戒を続けました。


 その間、私はまるで自分の魂がリグにくっついて、離れなくなってしまったかのようにさえ思いました。

 それぐらい、暖かく感じました。

 離れたくないとおもいました。


 願わくば、本当にずっと、いつまでも一緒にいたいと思っていました。

あああああリグレットママああああああああ!



……はっ!?

正気を失っていた!?



ともかく、これで2章は完結です!

もっと読みたい! ファーリちゃんぐへへ、リグレットママしゅき、とか思ってる方はブックマークや評価の方よろしくおねがいします!


思ってなくてもよろしくおねがいします!

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