09 衝撃の結末
――その瞬間でした。
私の中から、何やら得体の知れない力が湧き上がってきます。
そして、力は私の剣へと宿っていきます。
ショートソードは光り輝きます。そして、光は刀身を成してゆきます。
一瞬のうちに、ショートソードは光の大剣に変化していました。
私の振り下ろした光の大剣を、パパは慌てて――どうやら手加減なしの全力の速度で防御の構えに入りました。
私の剣と、パパの剣がぶつかり合います。
ごうごうと、とても剣が鍔迫り合っているようには思えない音が鳴り響きます。
光の剣は、相当の圧力になっているらしく、パパは苦悶に顔を歪めています。
でも私も――なんだかよくわからないけど、今は引くつもりはありません。
謎の光の剣。正体不明の力ですが、今はパパに――全力を見せて、認めてもらいたいのです。
ちゃんと戦えるのだと。
私は一人前だと。
それを知ってもらいたくて、私はさらに力を込めます。
すると、光はさらに強くなりました。
大剣は刃渡り2メートルを超えるほど巨大になり、パパを押しつぶしていきます。
パパは手加減無く、全力で押し返している様子でした。
けれど、それ以上の圧力を光の大剣が押し付けています。
次の瞬間――パパの剣が、折れました。
いいえ。砕けたのです。
まるで石でも砕いたかのように、模擬戦用とはいえ金属の剣が、バラバラに割れて砕けました。
パパは驚愕していました。
けれど、それは一瞬のことでした。
光の大剣はパパに直撃します。
鈍器で殴ったような、ごつっという音が立ちます。
そして、光の大剣は砕けました。
私はパパに一撃加えた直後、地面に着地します。
それと同時に、パパの身体が崩れ落ちます。
パパが――倒れたのです。
膝をつく、というレベルではありません。
意識を失っていました。
「――しょ、勝負そこまでッ!」
審判の騎士の声が上がりました。
信じられない、と声が語っていました。
私も同様です。自分が、パパを――まさか、倒せるなんて思ってもいませんでした。
けれど、それよりも。
「――パパッ!」
私は、パパに駆け寄りました。
勢いで使った、謎の光。強すぎる力。
それを受け止めて気を失った――私の大好きなパパ。
後悔と心配で、自分の心臓が潰れてしまうかというぐらい苦しくなりました。
「パパ、パパッ! 目を覚まして!」
私は、何度もパパの名前を呼びました。
やがて、衛生兵が駆けつけました。
パパを担架に乗せ、ショックのあまり動けない私から離れていきます。
私は――ぺたりと座り込んだまま、罪の意識で身動き一つとれないまま、パパの無事を祈って担架を見送るのでした。