33 中央ギルド
買い物も終え、ようやくハンターギルドに向かいます。
学園を出たのは朝早い時間だったのに、既に日は高く登っています。お昼時ももうすぐでしょう。
王都にはハンターギルドがいくつか建てられているのですが、主要なのは2つ。
一つは中央ギルド。王都だけでなく、聖ヴェルベリア王国のあらゆるギルドを統括する、この国のギルド本部です。
そしてもう一つは正門前ギルド。王都に入る正門の近くに建てられたギルドです。
ハンターとして利用するのは、主に正門前ギルドですが、ハンター登録などをするのであれば中央ギルドの方が設備も良く、従業員も詳しい人が多いので便利です。
というわけで、私たちは中央ギルドにやってきました。
「でっかいのです……」
ずうん、と見上げるほど大きな四角い建物です。
中ではギルド関係の事務処理をする従業員がたくさん働いています。
中央だけあって、その数は他のギルドの比ではありません。
だからこれだけ大きいのでしょう。
私たちは中央ギルドに入ります。
中は小奇麗で、ハンターの施設というよりは上品な待合室、という感じに見えます。
「ようこそいらっしゃいました。こちらはハンターギルド王都中央本店でございます。ご用件の方は?」
受付の人が、向こうからやってきて話しかけてきます。
ああ、なんて良い接客サービスなのでしょう。
とてもハンターの業界とは思えません。
「はい。僕たちはハンター学園の学生なのですが、学生ハンターとしての登録と、私たち4人でチーム登録をしたいと思いまして」
「4名様ですか? 後ろの方はお連れ様では?」
「えっ?」
受付さんと対応していたお姉さまが、驚いて後ろを振り返ります。
なんと、いつのまにやらカミさまがしっかり姿を現しています。
「いえ~い」
「……5名でチーム登録お願いします」
「かしこまりました。それでは手続きの書類等お持ちしますので、さきにあちらの、203のお部屋でお待ち下さいませ」
受付さんは案内をすると、引っ込んでいきました。
言われた通り、みんなで203の部屋に向かいます。
部屋と言っても、仕切りで分けられた空間にすぎないのですが。
しかしちゃんとソファとテーブルがあって、なかなか上等な空間となっています。
「……カミーユさん、本当にハンターチームに混ざるつもりなんだね」
お姉さまが疲れたような顔をしてため息を吐きます。
「そりゃね。まあ、その方が何かと便利じゃない? 私がたまに姿を現しても、チームメイトなら一緒に行動しても問題無いでしょ?」
「まあ、合理的ではあるのですが……」
お姉さまの懸念は分かります。
だって、カミさまの学生証は模造品です。
バレたらどんなトラブルになるかわかったものではありませんから。
私はこいつが神だと知っているので、そんなヘマはしないと分かっているのですが。




