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26 これからの予定は?




 翌日。朝食の席に、5人が集まりました。

 私、リグ、お姉さま、アンネちゃん、そしてカミさま。


 一ついらない白いのが混ざっていますが、まあ良しとしましょう。


「それじゃあ、今日からのおおよその予定を立てようと思う。って言っても、もうやることはほとんど決まってるんだけどね」


 言うと、お姉さまはすっと一つの紙を取り出す。

 そこにはこれから10日間――学園の授業が始まるまでの日程が大雑把に書かれていた。


「まず、今日中にハンターギルドでハンター登録。試験は恐らく、ハンター学園の生徒だってことを証明すればスキップできる。で、ハンター学園の学生だって証明するためのものがこれ。学生証」


 お姉さまは、なんと4人分の学生証を持ち出してきた。


「これ、どうやって手に入れましたの?」

「リリーナ先生にお願いをして無理言って持ってきてもらった。本当は本人が事務まで顔出さなきゃ始業前には貰えないんだけど……まあ、そこはね?」


 言いながら、お姉さまは4つの学生証を順に配ります。


「ねえねえ、私の分は?」


 カミさまが余計な口を挟んで来ます。


「あるわけないのです。アホなのですか?」

「まあ、そうだよね。だと思って、作っておきました学生証」


 言うと、カミさまはどこからともなく学生証を取り出します。

 私たちの持っているものと全く同じ。ちゃんとした学生証です。


「……身分証明書類の偽造は犯罪ですわよ、カミーユ様」

「まあまあ~今日ぐらいしか使わないんだから多めに見てよ~お嬢さん。でないと昨日の夜ファーリのことを思って1人で」

「あああああああっ! 許しますわ! なのですぐに口を噤んでくださいます!?」


 どんな脅しを使ったのか分かりませんが、カミさまはあっさりリグを説得してしまいました。


「……あの、カミーユさん。学生証を用意しているってことは、もしかして?」

「そうそう。私もハンターチームに混ぜてもらおうかなって思って」

「まあ、止めはしませんが、なにかあっても僕は責任とりませんからね」

「はいはい~」


 既に、みんなカミさまがどういう存在なのか察しはじめているのです。

 超常の精霊を敬うような態度は無くなり、厄介なトラブルメーカーを見るような目でしか見なくなっています。

 ほんっと、クソなのですね。この神は。


「さて、話を戻そう。この学生証で、全員学生ハンターとして登録する」

「ねえねえ、アタシもなのかにゃ?」

「そうだね。学生ハンターとして身分の再登録をすればいいよ。そうしたら、いろいろな学割サービスを受けられるからね」

「にゃるほど……安く武器が買えたりするのかにゃ?」

「ハンターギルドの系列店であれば、武器に限らず安く買えるよ」

「だったらその再登録ってやつをするにゃ」


 アンネも納得してくれたので、お姉さまは話を続けます。


「ハンター登録を済ませたら、チーム登録。これはすぐにやった方がいい。チームでなければ受けられない依頼もたくさんあるからね。人数制限も、今は4人いるから大抵の依頼は受けられるようになるはず」

「だから5人だって」

「それで、チーム登録を済ませたらいよいよ最初の依頼。モンスターの討伐依頼はいくらでもあるだろうから、それを幾つか受けて王都の外に出よう」


 見事にカミさまを無視するお姉さま。カミさまも自分の扱いを理解したのか、これ以上騒ぐのはやめます。


「そして、最初の5日間は寮と王都の外を往復する形でハンター活動を続ける。でも、後半の5日間――というか、状況によってはもっと早く切り上げるんだけど、とにかく後半は野営の訓練もしようと思う」


 お姉さまは、紙に書かれた文字の後半部分を指します。


「チームの連携が必須だし、どんな役割を誰がこなすのか、肌感覚で分かっておくべきだと思う。だから野営の訓練は、学園での授業よりも先にやっておきたいんだ」

「わかりましたわ。わたくしも、チームでの活動というのは初めてですもの。異論はありませんわ」


 リグと同様の意見です。私も、そしてアンネちゃんも頷きます。


「野営訓練期間中は、早朝に王都へ引き返して、ギルドで素材換金、それと新しい依頼を受けてくる。これを繰り返して、最後の一日は可能なら早めに切り上げて、学園に帰る」

「何故ですの?」

「始業前の休養日。それと、僕たちの実力ならかなり稼げるはずだからね。食堂でも、街の飲食店街でも行って、パーッと食べて飲んで騒ごう」

「まあ、それは悪くない提案ですわね」


 リグも楽しみそうに笑います。きっと、そういう経験はリグにとって初めてなのでしょう。

 もちろん、私もそうです。今から楽しみで、浮足立っちゃいます。


「さて、大雑把な予定の説明は以上。それじゃあ、朝食を手早く済ませてしまおう」


 話も終わって、ようやく私たちはテーブルに用意していた朝食に手を付けます。

 少し、ご飯が冷めていました。

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