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24 アンネ・カウルマンの秘密




 私たちは、お互いの秘密を話し合いました。


 最初はリグです。自分のお家の事情と、なぜ学園に通っているのかについて。

 アンネちゃんはリグが王族と聞いて飛び上がってびっくりしていましたが、すぐにお姉さまとリグの説得で落ち着きました。


 次に私。転生以外のことについて、今までリグやクエラお姉さまに話してきたとおりのことを話しました。

 その際、説明に必要なのでカミさまにも出てきてもらいました。

 どうやらこの人、話がややこしくなりそうになるとすぐ姿を消すようです。

 思えば、お姉さまの部屋からアンネちゃんが飛び出してきたぐらいから姿を見ていませんでした。


 そうして、リグと私の秘密についてアンネちゃんに理解してもらった後、ようやくアンネちゃんの秘密が明かされる時が来ました。


「えっと、アタシの名前はアンネ・カウルマンって名乗ったと思うんだけど、カウルマンって名前には聞き覚え無いかにゃ?」

「えっと、私はよく分からないのです」

「にゃむぅ……リグちゃんはどうにゃ?」

「……まさか、王都でも有数の有力な商会、カウルマン商会のことかしら?」

「正解だにゃ!」


 リグの答えは合っていたらしく、アンネちゃんは喜びます。


「実は、アタシはカウルマン商会の現会長、ジョージ・カウルマンの娘なんだにゃ」

「商会長の娘さん、ですか。結構なご身分なのです」


 お金という力がありますから、有力な商会の商会長ともなれば下手な貴族よりも力を持っている場合があります。

 王都有数の商会ともなれば、相当な力を持っているはずです。


「……きな臭い話ですわね」

「ん? どういうことです、リグ?」

「商会長ともなれば顔が命ですわ。平民の間では亜人種と人の婚姻、混血のハーフというのは普通のことですが、未だに一部では根強い亜人種差別主義者のことを考えれば、入嫁に獣人を選ぶ、ということはそうそうありません。それに……獣人の入嫁を迎えた商会長ともなれば話題になるはずです。そんな話、一度も聞いたことがありませんわ」

「その通りだにゃ」


 アンネちゃんは、なんでもないような顔で言ってみせます。


「実は、アタシの父親は獣人の女を複数、愛玩動物として飼っているんだにゃ」


 爆弾発言です。

 これに、リグは露骨に嫌そうに眉をしかめました。


「違法ですわよ、それは」

「単なる寄付と寒村での突発的な大恋愛だにゃ。問題は無いらしいにゃ」


 なんだかちょっと、大人の世界の話のような気がしてきました。


「で、ここまで話せば分かると思うけど、アタシは父親が買った獣人の女が産んだ娘なんだにゃ」

「ややこしい生まれですのね、貴女も」


 アンネちゃんに同情するリグ。

 立場は違えど、生まれた環境に翻弄されて苦しんだ者同士です。

 きっと通じ合う部分もあるのでしょう。


「まあ、幸いアタシの父親は差別主義者でも行き過ぎた変態でもなかったにゃ。お母様はずっと大切にされていたし、他の獣人のみんなも人らしい生活を送っているにゃ。ただ……アタシの父親は、その、筋金入りの獣人好きだったにゃ」

「と、いいますと?」

「アタシみたいな半端な獣人はあまり大切にされなかったのにゃ」

「あぁ……」


 私は、つい納得してしまいました。

 いるのです。そういうケモナーは。

 自分の嗜好とするバランスのケモ以外は全て邪道とする、性癖のねじ曲がったケモナー。

 前世でも、そういうやつを見たことがあります。

 主にインターネットで。


「虐待とかはなかったんだけど、お母様が病気で死んでからは早く独り立ちして家を出るように言われたんだにゃ。それで何年かハンター活動をして実力をつけて、今年ようやくハンター学園の試験に合格できたんだにゃ」

「あら、アンネさんは既にハンター活動の経験がありますの?」

「そうだにゃ」


 リグの意外そうな一言に、アンネちゃんは頷きます。


「一応、父親が推薦してくれたおかげでハンター登録の身分証明は通過できたんだにゃ。そのままハンターになっても良かったんだにゃけど……」

「けど?」


 私は繰り返すように言って続きの言葉をうながします。


「ハンター学園に入れば家賃がタダになる、という魅力には勝てなかったのにゃ!」

「……貴女ねえ、王都の税金を何だと思っていますの」


 呆れた様子で、リグが文句を言います。

 でも、私はアンネちゃんの気持ちもわかりますよ。


 家賃タダ。

 素敵すぎます。

 貧乏生活経験者にはたまらない魅力です。

 前世の24歳学生だったころの記憶が蘇ります。

 家賃のお陰で日々の食費は削られ、薄いおかゆに塩という日もありましたね……。


「――さて、これで全員の秘密は共有できたね」


 お姉さまが頃合いを見て、話を切り出します。


「それじゃあ、これからのことは明日の朝に話そう。今日はこれで解散。いいね?」


 私たちはみんな、お姉さまの言葉に頷きます。

1万ユニークアクセスを突破したみたいです! やったぜ! うれしい!


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