表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
62/320

16 お姉さまの反省




 しばらくの間、私とリグは甘~いお友達タイムを続けていました。


 ですが、カーテンの向こう側から声が聞こえてきて、ついに2人っきり気分は終わりを迎えます。


「……うぅ、ここは?」


 それはお姉さまの声でした。


「目覚めたみたいですわね」

「お姉さま!」


 私はベッドから起き上がり、お姉さまの方へ向かいます。

 治癒術のおかげか、足は既になんともありません。

 カーテンを開くと、そこには横たわったままのお姉さまの姿。


「ああ、ファーリ。――そうか、僕は負けたんだね」


 はぁっ、とお姉さまは深いため息を吐きました。


「いやあ、ズルまでしたのに負けるなんて。正直びっくりだなぁ」

「へっ? ズルですか?」

「ふふ。僕のステータスをサーチしてごらん、ファーリ」


 お姉さまに言われるがまま、私はスーパーサーチを使います。


―☆――☆――☆――☆――☆――☆――☆――☆――☆――☆――☆―


クエラ・フォン・ダズエル(Quela Fon Dazzuel)


ライフ:7295

パワー:3567

攻撃力:1264

防御力:587

魔法力:803

敏捷性:641


技能:総合武術(B+) 剣術(A) 飛行(D) 魔眼(C) 自然治癒(E)

   造血(D) 血液操作(D) 魔力結晶(D) パワー回復(D) 吸血(D)

魔法適性:闇(D-)、命(D-)

魔法耐性:闇(D)


―☆――☆――☆――☆――☆――☆――☆――☆――☆――☆――☆―


 ……あれ?

 模擬戦の時よりも、ステータスが下がっています。


 しかも、模擬戦の時には無かった技能、吸血というものが増えています。

 詳細を見てみましょう


―☆――☆――☆――☆――☆――☆――☆――☆――☆――☆――☆―


吸血:血を吸うことで力を蓄える。任意に蓄えた力を開放し、自分を強化する。


―☆――☆――☆――☆――☆――☆――☆――☆――☆――☆――☆―


 なるほど。

 つまり、模擬戦の時のお姉さまは吸血で蓄えた力の分、自分を強化していたというわけですね。


 でも、それはズルとは言いません。


「見えたかな、ファーリ?」

「はい。でもお姉さま」

「言わなくていいよ。何にせよ、僕は負けたんだからね……細かいことはどうでもいいさ」


 はぁっ、とまた大きく息を吐くお姉さま。

 でも、その息はどこか清々しい、軽い調子のため息でした。


「僕は、少し自惚れていたかもしれないね。ファーリを守ってあげる騎士のつもりでいたんだけど、思い違いだったみたいだ」

「そんな、お姉さま! 私にとって、お姉さまはいつまでも憧れの人です!」


 私は、お姉さまの手を取って言います。

 けれど、お姉さまは首を横に振りました。


「いや、別に自分を卑下しているわけではないよファーリ。ただ、自分の妹だって強くなるんだ、ってことを思い違えていたんだ。それを、反省しているだけさ」


 言うと、お姉さまは私の手を強くぎゅっと握りしめます。


「これからは、妹を守るナイト気取りはしない。共に強くなっていこう、ファーリ。これからの僕たちは、対等な仲間。そして、ライバルだ」

「――はいっ!!」


 憧れのお姉さまに対等とまで言ってもらえて、私は嬉しくて飛び上がりそうな気持ちになりました。


「――さて、いつまでもこうしちゃいられないな。ファーリに負けないよう、強くならないと」


 お姉さまはベッドから身体を起こし、私の方を見る。


「というわけで、すまないけどファーリ。いつもの『アレ』、お願いしてもいいかな?」


 お姉さまに言われ、私は顔が赤くなります。


「アレですかっ!? でも、今はリグが見ています……」

「……アレ、とは何ですの?」


 リグは訝しげな声を出して、首を傾げました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ