09 ファーリ、問い詰められる
リグの秘密を共有し、4人で仲良く朝ごはんを頂きました。
食堂のお食事は質素ながらも、十分な量と質で、私としては満足いくものでした。
少なくとも、入学するまでの間に安宿で頂いたお食事よりはずっと良いものでした。
そしてお食事もだいたい片付けた頃。
いよいよ朝食にも適した頃合いになって、食堂にも人が増え始めます。
そんな時、お姉さまが言いました。
「で……そろそろ話してもらいたいんだけどな、ファーリ?」
「はい?」
「どうしてハンター学園に?」
私は、驚いてご飯を喉につまらせそうになってしまいました。
そうでした。
お姉さまは、まだ私の魔法適性や実家で起こった出来事などを知らないのでした。
「えっと、それは……」
「父上の話だと、ファーリを修行に出すのはまだまだ先のことだって話だったと思うんだけど」
「……いろいろあったのです」
「話してくれるかな?」
「はい……」
お姉さまを相手に、隠しておくわけにもいきません。
そこで私は、全てを正直に話すことにしました。
まずは、私が魔法の才能に目覚め、パパを倒してしまったこと。
そして、その力を見込んだパパが予定を繰り上げて私をハンター学園へ修行に出したこと。
私が全属性の魔法適性と魔法耐性を持っていること。
そして、試験でリグレットさんと戦ったことも。
ここ最近で起こったことは、ほとんど全て話しました。
そしてもちろん、私がカミさまから特別な力を貰っていることも。
その力は今は封印されていること。
それでも私の力は強すぎるから、自ら力の一部を封印していること。
さらに、スーパーサーチや莫大な容量のストレージ、お仕置き棒という便利アイテムのことも。
ただ、私が別の世界からの転生者であること、そしてカミさまが本当に神であることだけは隠しました。
こればかりは、少し突拍子もなさすぎて、信じてもらえないと思ったからです。
「へぇ……じゃあ、後期試験を圧倒的な成績でトップ合格した天才少女、ってのはファーリのことだったんだね」
「ふええっ!? そんな噂に!?」
「そりゃあね。噂通りのことをやらかして合格したんだったら、受験者だけじゃなくて、当日の様子を観覧していた生徒の間でも話題になるよ」
「うぅ……目立っていたのですね、しらずのうちに……目立つのは嫌なのです……」
私はこの先の学園生活のことを思い、憂鬱になります。
噂の天才少女、として生活するのは嫌なのです。
できる限り穏便に、平穏に。
「で、これが話にも出てきたお仕置き棒ってやつ?」
お姉さまは、私が説明の為に出したお仕置き棒を手に取ります。
「……魔道具なのに、もしかしてファーリ、『銘』を付けてない?」
黒い刀身のナイフをじろじろ観察しながら、お姉さまは言います。
「銘、ですか? どういうことです?」
「ああ、そうか。ファーリの歳だと、まだパパから教わってないはずだね」
お姉さまは、勝手に納得したように頷きます。
「いいかいファーリ、魔道具というのは誰にでも使える便利な道具だ。だからこそ、誰かに奪われたりするととても困ったことになる」
「はい、それは理解できます」
「だから、魔道具の所有者は自分の魔道具に『銘』を付けるんだ。そうすると、魔道具は自分に銘を付けてくれた人以外に反応しなくなる。つまり、ファーリがこのナイフに名前をつけてあげたら、ファーリ以外が手にしてもただのナイフでしかなくなるってことさ」
つまり、咄嗟の状況で武器を奪われても、それを利用されて不利に陥ることは無い、ということです。
「なるほどです……では、さっそく銘を付けるのです!」
「銘は魔法で名付けなきゃいけないんだけど、できるかい?」
「多分できるのです!」
根拠はありませんが、私の魔法適性であればそれぐらい出来るでしょう、と考えました。




