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異世界転生してもステータスはそのままでって言ったのですが!?  作者: 桜霧琥珀
一章 初めてのおともだち
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32 愛称で呼びましょう




「はぁ……可愛い尊い……」

「あの、リグレットさん!」

「は、はい!? 何ですの!?」


 リグレットさんが何かを言っていたようですが、今はそれどころではありません。


「えっと、私たちお友達になったのですから、せっかくですからそれらしいことを何かやりませんか?」

「それらしいこと、ですか」


 リグレットさんは考え込みます。私を抱きしめる力が弱まりました。

 この調子で話を逸らし続けましょう。


「例えば、どんなことですの? わたくし、そういうことには疎くて……ファーリは何をしたいのです?」

「えっと、そうですね……私は、お互いに愛称で呼び合う、とかしてみたいのです」


 仲の良いお友達同士だけに許された、愛称でお互いを呼ぶ行為。

 前世の私も含めて、ずっと夢だったことの一つです。


「愛称ですか……わたくし、ファーリのことはファーリとお呼びしたいのですけれど。素敵なお名前ですし、響きも好きですわ」

「えっ、あっ、その、それじゃあリグレットさんはそのままでもっ!」


 好きと言われてつい顔を紅くしてしまいました。


「では、ファーリがわたくしの愛称を考えてくださるのかしら」

「はい! 任せて下さい!」


 とは、言ったものの。

 愛称なんて、一度も作ったことがありません。

 私は前世でも友達が少なく、本当に仲が良かった人などほとんどいませんでしたから、良くて名前呼び。大抵は姓を呼びあうだけの関係でした。

 今世に至っては、今まで友達が出来たことすらありません。


 未知の領域。

 良い愛称を考えるのは困難を極めます。


「……では、『リグレっち』というのはどうでしょう!?」

「なんだか、間抜けな響きですわね」

「あうう……」


 でも、リグレットさんの言うとおりだと思います。

 リグレットさんの素敵さ、優しさ、華麗さ、美しさを表現できるような愛称にしなければ!


「ナイスジェントルスプレンダービューティーガールリグレット様! というのはどうでしょう!?」

「それ毎回言いますの? というか、バカにしていません?」

「い、いえ! 真面目に考えすぎただけなのです!」

「そう……」


 ああ、リグレットさんを不機嫌にしてしまいました……!

 これはいけません。


「……リグっち!」

「ダメですわ」

「リグたん!」

「たんって何ですの」

「リグリグ!」

「それ、一回でよくありませんこと?」

「じゃあ、リグ!」

「……まあ、悪くありませんわね」


 おっ、好感触です。


「では、これからはリグとお呼びしますね」

「早速ですの? まあ、ファーリのお好きになさいな」

「ありがとうなのです、リグ♪」

「……っ。やっぱり、少し恥ずかしいですわ! ちょっと心の準備をする時間を下さらない?」

「ダメですよ~リグ~」

「うぅ……何なんですの貴女は、その、わたくしを困らせてばかりで! こうしてやりますわ!」

「えっ!? ……あひゃあっ!」


 リグレットさん――いいえ、リグにお腹や脇の下をくすぐられて、変な声を上げてしまいます。



 その後暫く私とリグの騒ぎ声は部屋に響き続けました。

 寮監の方が怒って見回りにくるまで、私とリグのくすぐりあいっこは続いたのです。

次から2章が始まります!


ナイスジェントルスプレンダービューティーガールリグレット様のことを可愛い、もしくはママみが深いと思ってくださった方、あるいはこの作品を面白い、続きが気になるなど思ってくださったならブックマークや評価の方をよろしくおねがいします!

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