27 ファーリ、逃げる
私は、一瞬だけ、自分の耳を疑いました。
友達にはなれない。
そう、リグレットさんの口から聞こえました。
目の前が真っ暗になって、なにもかもわけが分からなくなります。
足元もおぼつかないぐらい、ふらふら、ぐらぐらと脳みそが揺れます。
それぐらい、私にとってショックな言葉でした。
でも――すぐに、納得してしまいました。
そうですよね。私、そういう子ですから。
昔から、前世からそうです。知らず知らずのうちに人を傷つけて、勝手に仲良くなった気になって。
調子に乗って、私の方だけ友達気取り。
前世のことを思い出します。
高校生のころ、学校行事のソフトボール大会でクラスから2つのチームを組むことになりました。
一つはスポーツの得意な男子ばかりのチーム。
もうひとつは、スポーツの苦手な男子ばかりのチーム。
私は、苦手な方のチームに入っていました。
練習をたくさんして、昼休みにグラウンドを借りて、チームのみんなで一緒にソフトボールをしました。
私はとても楽しかった。そして、チームのみんなもそうだと思っていました。
でも、実際は違いました。
私に無理やり付き合わされて、嫌々ながら練習していたのです。
クラスの女子に馬鹿にされながら、フラフラのスイングで凡打ばかり打つ。
守備も満足にできず、フライをアウトにとれることもほとんど無い。
そんな状況に、嫌気が差していたのです。
私は――みんなと一緒にソフトボールが出来ることが楽しくて、ただそれだけで、誰の気持ちも考えられずに、暴走していました。
無理に練習に付き合わせて、皆が人に見せたくないと思っていた姿を、強制的に晒し続けていたのです。
きっと、今回だってそうなのです。
私は多分、リグレットさんの嫌がることをして……それで、嫌われてしまっているに違いありません。
リグレットさんが、何かを言っているのが聞こえます。
けれど、何を言っているのかまでは頭に入ってきませんでした。
何よりも……私は、悲しくて、本当に悲しくて、ここに居たくない、と思ってしまいました。
苦しい。切ない。
リグレットさんの側にいるのが、とても申し訳なく思えてきます。
気付くと、私はぽろぽろ涙を零していました。
「――ファーリ!?」
リグレットさんが、驚いたように声を上げます。
でも私は、それさえ申し訳なくて、早く逃げ出したい気持ちでいっぱいになります。
「ごめんなさい、リグレットさん!」
私は、声を張り上げて誤ります。
「私、気付いてなくて……何か、嫌なことしたのですよね。私が悪いのです。でも、何が悪いか、分からないのです。私、わたし……っ!」
「ど、どうしたのファーリ!? 少し落ち着きなさいな!」
リグレットさんが気遣ってくれます。
でも、それさえ苦しくて、私は逃げるように身を引きます。
「ごめんなさい! でも、今日はほんとうに、たのしくて……でも、ごめんなさい! 私、ダメでしたよね! もう二度と、近づきません。ごめんなさい、さようなら!」
私は、最後にそれだけを言い残し、逃げ出します。
リグレットさんに背を向けて、休憩室から駆け出ていきました。




