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異世界転生してもステータスはそのままでって言ったのですが!?  作者: 桜霧琥珀
一章 初めてのおともだち
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27 ファーリ、逃げる




 私は、一瞬だけ、自分の耳を疑いました。


 友達にはなれない。

 そう、リグレットさんの口から聞こえました。


 目の前が真っ暗になって、なにもかもわけが分からなくなります。

 足元もおぼつかないぐらい、ふらふら、ぐらぐらと脳みそが揺れます。


 それぐらい、私にとってショックな言葉でした。



 でも――すぐに、納得してしまいました。


 そうですよね。私、そういう子ですから。

 昔から、前世からそうです。知らず知らずのうちに人を傷つけて、勝手に仲良くなった気になって。

 調子に乗って、私の方だけ友達気取り。


 前世のことを思い出します。

 高校生のころ、学校行事のソフトボール大会でクラスから2つのチームを組むことになりました。

 一つはスポーツの得意な男子ばかりのチーム。

 もうひとつは、スポーツの苦手な男子ばかりのチーム。

 私は、苦手な方のチームに入っていました。


 練習をたくさんして、昼休みにグラウンドを借りて、チームのみんなで一緒にソフトボールをしました。

 私はとても楽しかった。そして、チームのみんなもそうだと思っていました。


 でも、実際は違いました。

 私に無理やり付き合わされて、嫌々ながら練習していたのです。

 クラスの女子に馬鹿にされながら、フラフラのスイングで凡打ばかり打つ。

 守備も満足にできず、フライをアウトにとれることもほとんど無い。

 そんな状況に、嫌気が差していたのです。


 私は――みんなと一緒にソフトボールが出来ることが楽しくて、ただそれだけで、誰の気持ちも考えられずに、暴走していました。

 無理に練習に付き合わせて、皆が人に見せたくないと思っていた姿を、強制的に晒し続けていたのです。


 きっと、今回だってそうなのです。

 私は多分、リグレットさんの嫌がることをして……それで、嫌われてしまっているに違いありません。



 リグレットさんが、何かを言っているのが聞こえます。

 けれど、何を言っているのかまでは頭に入ってきませんでした。


 何よりも……私は、悲しくて、本当に悲しくて、ここに居たくない、と思ってしまいました。

 苦しい。切ない。

 リグレットさんの側にいるのが、とても申し訳なく思えてきます。


 気付くと、私はぽろぽろ涙を零していました。


「――ファーリ!?」


 リグレットさんが、驚いたように声を上げます。

 でも私は、それさえ申し訳なくて、早く逃げ出したい気持ちでいっぱいになります。


「ごめんなさい、リグレットさん!」


 私は、声を張り上げて誤ります。


「私、気付いてなくて……何か、嫌なことしたのですよね。私が悪いのです。でも、何が悪いか、分からないのです。私、わたし……っ!」

「ど、どうしたのファーリ!? 少し落ち着きなさいな!」


 リグレットさんが気遣ってくれます。

 でも、それさえ苦しくて、私は逃げるように身を引きます。


「ごめんなさい! でも、今日はほんとうに、たのしくて……でも、ごめんなさい! 私、ダメでしたよね! もう二度と、近づきません。ごめんなさい、さようなら!」


 私は、最後にそれだけを言い残し、逃げ出します。

 リグレットさんに背を向けて、休憩室から駆け出ていきました。

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