26 お友達に、なれない!?
試験の結果、つまり合格発表は今日のうちに行われます。
審査待ちの間、私たち受験者はいくつもある休憩室のどこかで時を待ちます。
私とリグレットさんも同じです。
2人で、一緒の休憩室でゆっくりしていました。
「――つまり、わたくしの魔法弾は無効になっていたわけではなかったということですのね?」
「はいです。あのままリグレットさんの魔法銃を何度も受けていたら、戦闘不能に陥ってたと思うのです」
私とリグレットさんは、模擬戦のことばかり話していました。
勝負が終われば、敵同士ではありません。
むしろ、これからは学友となるかもしれない相手です。
研鑽のため、戦いを振り返って話すことも重要なのです。
「全く、わけの分からない魔法を使いますのね、ファーリは。しかも、魔法耐性まで全属性お持ちとは――」
「はわわっ、内緒ですそれは!」
「誰もわたくしたちの話など聞いていませんわ」
リグレットさんの言うとおり。休憩室はざわざわ、と雑談でうるさく、私たちの近くには誰もいません。
模擬戦の様子を見ていた受験者は、私たちに近寄りがたい気持ちでいるのでしょう。
これなら話を聞かれる心配は無さそうです。
そして――私は、いよいよ決心します。
今日一日、ずっと考えていたことです。
リグレットさんと、お友達になりたい。
それを言葉にして、きちんと申し込むのです。
「あ、あの、リグレットさん!」
「何かしら」
「今日は、本当に楽しかったです。リグレットさんと一緒にいると、試験を受けているだけなのに、なんだか暖かい気持ちになって……すごく、楽しかったのです」
「そう、それは良かったですわ。わたくしも、今日は久々に全力で相見えることの出来る相手と出会えて、興奮しっぱなしでしたわ」
これは、好感触です。
脈アリです。
「なので――その、私、リグレットさんにお願いがあるのです」
「はい? わたくしに? それは、何かしら」
リグレットさんは微笑みながら、私の言葉を待ってくれます。
言うのです、私。
ファーリとして初めてのお友達を作るのです!
「お願いです、リグレットさん! 私と、友達になってほしいのです!」
私は頭を下げて、ついに言い切りました。
私の心を、期待がいっぱいに満たしていました。
けれど――リグレットさんの言葉は、私の願いを打ち砕きます。
「それは……できませんわ」




