03 南条雪穂というヤツ
僕は、自分の日常を振り返って考えてみます。
確かに、僕はちょっとトラブルに巻き込まれやすい体質です。
昨日のバイト中、店長が変なお客さんにクレームをつけられ、謝罪をしまくっていました。
すると、お客さんは突然店長の髪を引っ張ったのです。
そして店長の髪――いいえ、カツラはすっぽりと外れてしまいました。
これにキレた店長は、お客さんの髪に掴みかかりました。
するとなんと、お客さんの髪まですっぽり外れてしまったのです。
二人ともカツラだったのです。
思わぬ事態に、僕はつい笑ってしまいました。
これがいけなかったのか。お客さんと店長に羽交い締めにされ、しばらく二人にガミガミ怒鳴られるはめになりました。
そういうトラブルが、昔から僕の身の回りではよく起こります。
また、僕自身もトラブルを起こしやすい性格でして……。
というのも、僕は時おり突拍子もないことを言い出すというか、考えるというか。
他の人の常識からズレた言動をとるのです。
友人の一人は『サイコパス』と。また別の一人は『変人』『奇人』などと評価しました。
そんな僕ですから、妙に人から睨まれたり、嫌われたり、逆に変な人に好かれたりします。
昔から、そういった理由でよくトラブルに巻き込まれていました。
でも、だからといって、僕がこの地球上で一番面白いとは思えないのです。
僕なんかより、テレビに出ている芸人さんの方が面白いです。
違う尺度で言えば、セレブの人とか、プロのスポーツ選手とか。そういう人の方がずっと面白い人生を送っています。きっと、見ていて楽しいのはそういう人たちです。
どうもよく分かりません。
僕が特別面白いとは、やはり思えません。
「あの……神さま」
「はい、どうしました?」
「僕ってそんなに面白いですか?」
「はい。最高です。世界一たのしい人です。この私が保証します」
どうも、神さま的には僕がベストらしい。
納得はいかないが、そこもひとまず保留です。
「それじゃあ……転生って、具体的に何をするんですか?」
僕はいよいよ、本題について尋ねます。