30 エリスの初夜
「婚約者同士ですからね。ちゃんと、私にもエリスを幸せにする義務があると思うのです」
「ファーリさん……っ!」
私が答えを返すと、エリスの表情が途端に喜びに染まります。
「だから、その。エリスが夜這いをするというなら……私は、ちゃんと受け入れようと思うのです」
そして、はっきりとエリスを受け入れると、肉体関係を許容すると言葉にしました。
「……約束だからね、ファーリさん。私、ちゃんとその言葉、覚えておくから。しっかり幸せにしてくれなきゃ、嫌だからね?」
「わかったのです。ちゃんと、エリスのことも幸せにします」
他のみんなと同じように。
と、いう言葉はさすがに野暮なので口にしませんでした。
同意が得られたエリスは、ゆっくりと私の方へ近づいてきます。
私は少し下がって、ベッドの上に座ってエリスを待ちます。
――エリスは私の正面から、覆いかぶさるみたいな格好でキスをしてきました。
そのまま私は後ろに倒れ、エリスに全身を抱きしめられるような格好のまま、キスを受け入れます。
「――んっ。ファーリさんっ♪」
エリスのキスが、少しずつ激しくなっていきます。
私の口の中へ、エリスの舌が入り込んできます。
私もエリスに応えるように、舌を伸ばします。
お互いに舌を伸ばして、ぴちゃぴちゃと水音を鳴らしながら絡み合います。
キスは激しさをまして、それに連れて私とエリスの興奮も高まっていきます。
最初に手が動いたのはどちらだったでしょうか。
気づかないうちに、私たちは手を伸ばし、お互いの肌を撫で、優しく触り合っていました。
そして手が胸や、足の付根へと伸び始めたところでキスが終わります。
「……これ以上は、ちゃんとベッドの上でやりましょうか」
私はエリスを促して、一緒にベッドに上がります。
ベッドの中ではお互いに手足を絡め合い、またキスから始めます。
今度は最初から舌を絡め、唾液を交換する大人のキスをしました。
触れ合うほど、熱を交換するほどに、エリスを愛おしいという気持ちが湧き上がってきます。
身体を重ねただけで、あっさりそんなことを考える私はやっぱりスケベな子なのでしょう。
でも……エリスなら、それでもいいような気がしてきます。
エリスの人柄については以前から知っていました。
それに、国境山脈を越える間にお互いの理解も深まっています。
しかも、婚約者です。
こうして身体から絆を作っていくというのも、一つの在り方なのかもしれません。
――そんなことを考えていると、エリスが唇から離れていきます。
「……ねえ、ファーリさん」
「なんですか?」
「私ね。やっぱりちょっと変な性癖に目覚めちゃったみたい」
言われて、ふと思い出します。
そういえば……エリスの性癖を私が開発してしまったのでしたね。
「だから――ファーリさん。責任とってね?」
「それはつまり……?」
「痛くして欲しい、ってこと♪」
つまり、ドMに目覚めたエリスは、私に痛みを伴うプレイを求めているというわけです。
「わかったのです」
私は言うとエリスの首筋に口を寄せて――歯型が付くぐらい強く噛みつきます。
「あっ、ん……っ♪」
エリスが嬉しそうに、気持ちよさそうに喘ぎ声を上げます。
……痛みで悦ぶというのも妙な話ですが、エリスが求めるなら私は応えるだけです。
――そうして、私とエリスの夜は痛みを伴う数々のプレイをしながら更けていくのでした。
ついにエリスさんとも、一線を越えることになりました!
ファーリさんのハーレムは拡大! とどまることをしらない!
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