20 全てを明かして
翌朝。
私は、エリス以外の3人――リグ、お姉さま、アンネちゃんに全てを話すと決めました。
婚約してしまっているのですから、エリスにも話してしまうべきかと思いましたが……さすがに、まだ少し早すぎます。
私の秘密を疑わず、理解してもらえるぐらい仲良くなるまでは、秘密は秘密のままの方が良いでしょう。
そこで私はエリスだけテントの中に残ってもらって、3人とだけ野営地で向かい合います。
ちなみに、説明のためにカミさまも一緒です。
とっくに火の消えてしまった焚き火跡を囲み、5人が顔を突き合わせます。
「――で、ファーリ。話したいこととは何ですの?」
リグが呼び出しの理由をすぐに問いかけてきます。
……こうして、面と向かうと緊張してしまいます。
もしも、私がファーリではなく南城雪穂という男だったことを理由に拒絶されたりしたら。
そんな想像をすると、とても怖くなります。
でも、黙っているわけにはいきません。
もうここまで来たら、話すのみ。
「実は――私の、秘密についてお話しようと思うのです。
そう言って、私はいよいよ自分の秘密について、全てを言葉にしていきます。
――およそ小一時間ほど、話を続けました。
まずは私が元は別の世界に生きていた、いわゆる転生者であること。
そこから、私が元々どういう人間で、どういう経緯で転生するに至ったかについても話しました。
そこからカミさまが本当に神であることも話してしまいます。
ちなみに、これについてはちゃんと明かしても良い、ということをカミさまから了承を得ています。
そして私がカミさまからもらった数々の力を使って、ズルいぐらいの成長を遂げたこと。
さらには――みんなと一緒に居るために、スーパーコードという力で自分の存在を書き換えたことまで話していきます。
当然、この話題になればスーパーコードという力について、そして世界の仕組み、コードというものについての話も補足する必要がありました。
また、私が自分のコードを書き換えた影響ですでに人間ではなくなっていることについても説明しました。
とても、本当にとても長い説明になりました。
この世界で前世の記憶に目覚めてから、今日まで積み重ねてきた私の秘密。
その全てを言葉にして、みんなに伝えました。
最初こそ、話の内容の突拍子のなさにみんな驚いていました。
けれど、すぐに真剣に話を聞いてくれるようになりました。
そして全てを話し終わった今――3人は、何かを考え込むようにしながら、難しい表情を浮かべています。
「……やっぱり、怒ってますか? 今までこんな大事な話を、秘密にしてたのですから」
私はつい、重い雰囲気に耐えられずそんなことを訊いてしまいます。
すると、途端に3人は顔を上げ、ハッとした様子で私を見ました。
そして勢いよく、首を横に振って否定します。
「そんなわけありませんわ!」
「ああ、怒るなんてとんでもない」
「むしろ、逆にゃ。ちゃんと話してくれて、嬉しいぐらいだにゃ!」
3人が――3人とも、少しも怒っていない様子。
それに私は安堵して、秘密を話してよかった、と心から思うことができました。




