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異世界転生してもステータスはそのままでって言ったのですが!?  作者: 桜霧琥珀
序章 ファーリ、転生を自覚する
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02 世界は神さまのお遊び道具!?




 ほどよい温度の湯呑みを神さまにも渡して、僕らは話の続きをします。


「では、まず世界とは何かについてお話ししましょう」

「はい」

「ズバリ、世界って神さまにとっての娯楽なんですね」

「えぇ、なんか嫌な感じですね」

「でしょうねぇ」


 けっこう驚愕の事実をお話し頂いたような気がしますが、ゆるいテンションのまま話は進みます。


「で、神さまにとってすっごい楽しい世界って、たくさんの神さまで協力して作るんですよ。普通なら、ミクロ物理担当とか、物質の質量バランス担当とか、そういう細かい担当が何百人と集まって作るんですね」

「それは大変そうですねぇ……」

「でしょう? でも、最近はそうでもないんですよ」


 神さまは、なんだか楽しそうな顔で言います。


「実は、最近は神さまが作る世界って高度化してまして。技術が発展してきたんですね。そのおかげとも言えるんですが、昔作ってたような単純な世界なら、素人の神さまが少人数でも作れるようになってきたんですよ」

「へぇ、いいですね。便利な世の中になっていくのは」

「はい。お陰で私も、一人だけでこの世界を作ることが出来ましたから」


 ……はい?


「あの、神さま。一人だけってどういうことです?」

「言葉どおりですが」

「え、つまり僕の生きてる世界って、あなた一人で作ったんですか?」

「はい、そうなりますね」

「えらい!」


 僕は小さな女の子を褒めてあげました。まあ、正直まだ本当に神さまがどうとかは信じていません。女の子の高度な作り話に付き合っているだけのつもりなのです。


「えへへ、褒めていただけるのは嬉しいのですが。実は一人と言っても、一から私だけで作ったわけではなくて。物理法則とか、素粒子とか、そういうところは全部フリー素材で賄って作ってあるので」

「フリー素材」

「はい、フリー素材です」


 なんだか急に、しょっぱい響きの言葉が出てきました。


「今の神さまの間では、世界を作りやすいようにいろんなフリー素材が溢れかえってますので、けっこう素人でもやる気さえあれば世界の一つぐらい簡単に作れちゃうんですよ。世界そのもののベースとなる、骨組みみたいなのも有料で買えますし」

「買うんですか、神さまが」

「そりゃそうですよ。お金払わずに何でも手に入るわけじゃないですから」


 どうも、神さまの世界は僕の常識の範疇からそう離れたものでもないらしい。


「おっほん。ともかく、神さまにとって世界は娯楽なんです。楽しむ為に作るんです。ここまではご理解頂けましたか?」

「はい、大体は。で、それと僕の転生の何が関係しているんですか?」

「まあ、そう逸らないでください。順を追って説明しますから」


 僕は面倒くさがりなので、だんだんと集中力がなくなってきます。

 でも、ここは女の子の為です。もうちょっと頑張ろう、と深呼吸します。


「どうぞ、続けて下さい」


 神さまはニコニコ笑って、話を続けます。


「で、実は私、今度は新しい世界を作るというか、もう作られてる世界の新たな製作者として新たに参入しようと思っていまして」

「新たに、ですか」

「はい。実は世界を作るって言っても様々な形態がありまして。私が新しく参入しようと思っている世界は、実は世界そのものはもうとっくの昔に出来上がっているんです。ただ、世界の中で活躍するキャラクターをどんどん新たに追加していくことが出来まして。いろんな神さまが好き勝手にキャラクターを作って、その世界に登場させているんです」

「なんだか……聞いてるだけでも分かる、カオスな世界ですね」

「でしょう? なんだか楽しそうとは思いませんか?」


 思いません。僕は首を横に振った。


「むう……ともかく、新しい世界、名前は『ファンタズム』と言うんですが、そこに私も自作キャラを登場させたいと思っていまして」

「じゃあさっさと自作すればいいじゃないですか」


 思ったことを言ってみせると、神さまは顔をぷくっと膨らませて怒ります。


「あのですね? キャラを自作するのってけっこうたいへんなんですよ。一からってなるとそれはもう……しかも、面白いことを起こしてくれそうなキャラじゃなきゃダメですから。簡単にはいかないんです」

「はぁ……」


 話を聞く内に、だんだんと予測が出来てきた。


「それで、キャラクター……人物の再利用をするんですか」

「はい、そういうことです。ご理解いただけましたか?」

「まあ、一応。でもそれなら尚更、僕でない方がいいのでは?」

「いいえ。私の知る限り、地球で貴方ほど面白いことを起こしてくれる人はいません」


 神さまが太鼓判を押してくれます。

 ですが、僕は首を傾げます。

 僕は……そこまで、面白いのでしょうか?

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