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異世界転生してもステータスはそのままでって言ったのですが!?  作者: 桜霧琥珀
一章 初めてのおともだち
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04 ファーリ、野営する




 カミさまと街路を急ぎましたが、案の定何の建物も無い場所で日が沈みました。

 野宿決定です。

 街道にはところどころに寝泊まりする為の小屋が建てられているのですが、私は昼過ぎにそれを一つ通り過ぎてしまいました。

 おそらく、次の小屋と前の小屋のちょうど中間ぐらいにいるのでしょう。


 これも修行のうちです。一応、野営に必要な知識はパパから習っています。実践は初めてですが、だからこそ今、挑戦するべきでしょう。


「野営の準備をするので、カミさまにも手伝ってほしいのです」

「はいはい。――あ、でも待ってユッキー」


 とりあえず薪になりそうなものを探し始めた私を、カミさまが止めます。


「実はユッキーに私が与えた力は、今まで話したものの他にもありまして……うべべべべっ!」


 お仕置き棒を抜き、ぺたっとカミさまにくっつけます。電撃がカミさまをこんがり焼いたところで離します。

 正直、カミさまの私優遇はやり過ぎです。怒るのも惰性になってきてしまっています。


「続きを話すのです」

「……で、私が与えた便利能力は二つ。『ストレージ』と『スーパーサーチ』って言うんだ」

「ストレージは分かります。……魔法適性にかかわらず、百人に一人ぐらいの割合でその魔法を扱う能力を持った人間がいる、と聞いているのです。そのレア能力を、こともなげに私に与えたと?」

「そ、そうでございます」


 カミさまは苦笑いで肯定。全く、この人はどんだけ私を優遇するつもりなのでしょうか。


 ストレージとは、簡単に言うとアイテム保管魔法です。

 一応、無属性魔法という扱いですが、別に無属性魔法を扱えない人間でもこの魔法だけ使える場合があります。

 リュック程度の容量まで、あらゆる物体を保管できるそうです。

 しかも、保管した物体は時間による劣化をしませんし、重さも無くなります。

 例えば生肉を保管するといつまでも腐りません。貴重な鉱石なども、負担なく運ぶことができます。


「で、そのストレージが野営と何か関係あるのですか?」

「その通り。実はユッキーのストレージの中に、私が独断で冒険用便利グッズを詰め込んでおきました」

「それは気が利くのです。具体的にはどんなものが入っているのです?」

「テントとか、焼肉用のグリルとか、一年分の薪とか、水や食料とか」

「ちょっと待つのです」


 カミさまが言い連ねたラインナップの容量を想像します。恐らく、リュック程度の容量には収まりきらないでしょう。

 ……いえ、確かにストレージは魔法です。適性のある人なら、自分よりも大きなものまで保管できると聞いたことがあります。


「カミさま……ちなみに、私のストレージはどれぐらいの容量があるのです?」

「そうだねぇ。ユッキーのお屋敷が敷地ごとまるっと入るぐらいかなぁ……うべべっ!」


 容量が莫大すぎてムカついたので、お仕置き棒で一回突いておきます。

 ちなみに、カミさまは既に前回のお仕置きで受けたダメージが回復している様子でした。ギャグ漫画の世界の住人のような、便利な身体をしているようです。


「まあ、それぐらいの容量があるのは便利に違いないでしょう。けれど、保管したアイテムの管理などが大変そうなのです」

「そこで『スーパーサーチ』の出番ですよ!」


 カミさまは得意げに言います。


「カミさま。『サーチ』なら私も見たことがあるのです。簡単な無属性魔法で、人のステータスやアイテムの性能などを、空中に映像として映し出す魔法だったと思うのですが。スーパーと接頭辞がつく以上、それよりも優れたサーチ能力を発揮するのですよね?」

「その通り。だから、ストレージの中にどんなものを仕舞っているかもすぐに分かるよ。試してごらん? ほら、見たいと強く念じてみ?」


 カミさまに促されるまま、私は念じてみます。


 すると、すぐに魔法が発動しました。

 私の目の前に、ちょうど前世でいう『テレビゲーム』のメニュー画面のようなものが映し出されます。

 いつかメイドが見せてくれた、サーチの魔法と似たようなものです。


「ほうほう……って、肉がなんで20キロも保管してあるのですか。水も100リットルはやりすぎでは? というかワイン2リットルって、私まだ未成年なので飲めないのですが」


 ちなみに、この国に未成年飲酒の概念はないのですが。前世の記憶のせいで、お酒はついためらってしまいます。

 それに、この世界の常識としても10歳の子供には飲ませません。


「あ、そのワインは私のね」

「私物を持ち込まないでほしいのです!」


 私はすぐさま、ワイン2リットルをストレージから放り出します。ちょっと念じるだけであっさり出来てしまうあたり、私の魔法適性が怖くもなります。


「けち~」


 言いながら、カミさまはなんと……自分でストレージを使い、ワインを仕舞っていきます。


「うべべべべべっ!」


 三倍の電力でお仕置き棒決定の瞬間でした。

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