29 対決、白真龍
白真龍は、巨大な身体に似合わないスピードで私に突進してきます。
咄嗟に私は腕をクロスして、白真龍の攻撃を受け止めます。
ドゴォンッ! とすごい音を立てて、衝撃波が広がります。
辺りの土が、まるで爆発でも起こったみたいに舞い上がります。
「これは……なかなか」
私は、白真龍の突進の力に驚きます。
その破壊力は、普通に受け止めていれば私のライフを数千単位で削るものです。
防御力ゼロの耐久性の上から殴ってその威力なのですから、まともな人間が受け止めていれば塵も残さず吹き飛ぶでしょう。
しかも、突撃と同時にコード強制も発動していました。
当然、即死コードを強制してきています。
普通の人間が耐えられるはずがありません。
ただの突進でさえ、それほどの恐ろしい威力を発揮するのですから、かなりの実力を持つ相手だというのが伺いしれます。
まあ、私は無敵かつレリックアーマーで攻撃を受け止め、コード強制耐性も持っているのでダメージはもちろん、即死コードも効かないわけですが。
私が突進を耐えたことに気づいた様子の白真龍は、驚いたように表情をピクリと動かします。
「ほう、人間風情よ、これを耐えるか」
「はい。まあ、実は人間じゃなかったりするのですが」
準亜神だそうですので。
龍とどっちがすごいのかはよくわかりませんが、人間よりは龍と釣り合う種族なのではないかと思います。
「ふむ、ではこれはどうかな――ッ!」
次の瞬間、白真龍は口を開くと、炎のブレスを吐き出しました。
高い威力の単発の魔法ではなく、持続力のある遠距離魔法のようです。
私が通常のアーマーなどで先程の突進を耐えたのであれば、有効な攻撃でしょう。
アーマーは攻撃の威力を受け止め、怯まなくなる技能です。
なので、こうして断続的な攻撃が重なった時、ガリガリと、一瞬ごとに連続で攻撃が当たるようになります。
アーマーがなければ、一度当たった時点で魔法の威力を受け切ってしまいますが、アーマーがあると当たったという判定にならない為、魔法が持続し続けるのです。
なお、私には効きません。
なぜなら、私のアーマーはレリックアーマーです。通常のアーマーではないので、弱点もありません。
炎が止み、その中から無傷の私が姿を現すと、白真龍はまた表情をピクリと動かします。
「ほう……これも耐えるか」
「えっと、耐えるというか効いてないというか」
「貴様、何者だ?」
白真龍は、私をただならぬ者として警戒しだした様子です。
正直に答えましょう。
「えっと、欲しいものがあってこの山に登ってきた、女の子です」
「分かっておる。お主も、転生直後の最も魔力の高い状態の我を倒すことで起こる奇跡を求めて現れたハンターの1人であろう?」
白真龍の言葉の意味がよくわからず、答えることが出来ません。
その無言を、白真龍は勝手に肯定として受け取ったようです。
「望むものがあるならば……力を示せぇぇええッ!」
白真龍は勝手に盛り上がって、勝手に咆哮を上げます。
そして口を開くと、またブレスを吐き出します。
いちいち当たってやる義理も無いので、私は走り出し、回避します。
「逃げているだけでは我は倒せぬぞ、人間の小娘よォ!」
別に倒せなくてもいいのですが……。
まあ、今はそういうのは置いておきましょう。
無視して通り過ぎてもいいのですが、私がもっと強くなるためにちょうどいい相手です。
せっかくなので倒しておきましょう。




