20 人間性の剥離
私が明日からどうしようか、と頭を捻っていると、不意に後ろからふわり、と何かに包み込まれるような感覚に見舞われました。
カミさまが、私を後ろから抱きしめています。
「――カミさま?」
私が名前を呼んでも、カミさまは返答しない。
どころか、一方的に話し始めます。
「私には、この状況を打開するための方法が分かってるよ」
「本当ですか!? それならそうと、早く教えてほしかったのです……」
私がうなだれると、カミさまはふふっ、とちょっとだけ呆れたような声で笑いました。
「うん、ごめんねユッキー。でも、あんまり良い方法じゃないから、言いづらかったんだよね」
言いづらい方法とは言え、実際にこの状況を打破できるなら、ぜひとも利用したいのです。
「とりあえず、話だけ聞かせて欲しいのです」
私は、カミさまに話の続きを促します。
「わかったよ、ユッキー。要するに、ここのモンスターたちが強すぎるから、山を登るのが大変なんだよ。だったら単純に、ここのモンスターたちよりもユッキーが強くなればいい」
「強くって言っても、そんなにすぐ強くなる方法があるのですか?」
「うん、あるよ」
カミさまは、どこか申し訳なさそうに、頼りない声で肯定します。
「私はユッキーを転生させた時に、様々な力を与えた。高いステータスや魔法適正、耐性、それにストレージやスーパーサーチ。でも……強すぎる力は私が封印してある、って話は覚えてるよね?」
「はい。封印が二段階施されていて、一つは開放することで、私がSランク相当のステータスを得て、様々な技能を得られるものですよね?」
「うん、その通り。覚えてて偉いね、ユッキーは」
急に、カミさまが私の頭を撫でます。
くすぐったい感覚に、私は目を細めます。
「さて、本題はその二段階封印の、最後の一つについてだよ」
いよいよ、カミさまは話の核心について話を始めます。
「私がユッキーに与えた力。その最後の一つは……その名も、スーパーコード」




