表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
154/320

16 出発と凶報




「――荷物は持った? 食料と水は余分に用意したかしら?」

「はい。一ヶ月は大丈夫な量をストレージに入れてあるのです」


 私はリグの入念なチェックを受けながら、王都周辺の外壁のうち、白真龍の山へと続く方角の門がある方向へと歩いていました。

 後ろからはお姉さまと、アンネちゃんがついてきています。


 もちろん、みんな私を見送りに来てくれたのです。白真龍の山までついてくるわけではありません。


「モンスター避けの魔道具に、侵入者の探知結界用の魔道具、それと簡易の防御結界の魔道具は持ったかしら?」

「もちろんなのです。三つとも、普段からストレージに常備してあるのです」

「なら――」

「リグレット様。心配なのは分かりますが、もう同じ質問を三周は繰り返していますよ」


 後ろから、お姉さまが呆れ混じりの口調で注意します。

 言われて、リグも恥ずかしそうに頬を染めて、口をつぐみます。


「……だって、私は私のファーリが心配で仕方ないんですもの」


 リグがぼそりと呟いた声は、不意打ちで私の心臓をドキリと跳ね上げました。

 私の、ですか。ふふふ。嬉しいことを言ってくれるのです。

 心配されるのも、所有されるのもリグなら悪い気はしません。

 胸の内がくすぐったくて、つい笑みを零してしまいます。


「安心して下さい、リグ。ちゃんと準備はしたのですから。朝も一緒に荷持の確認をしたのですよ?」

「ええ、それは分かっていますけれど、でも……」


 リグは言い淀んで、その直後に私を抱き寄せ、ぎゅっとしてくれます。


「でも、何日もファーリと離れ離れなんて、やっぱり辛すぎますわっ!!」

「うっ。リグぅ……私もなのですぅ~!」


 ひしっ、と私もリグを抱きしめて返しました。


「できるだけ早く帰ってくるのです!」

「ええ! そうしたら、何よりも真っ先に、抱きしめてさしあげますわ。そのためにも、明日から毎日こちらの門の前まで迎えに来ますわっ!」

「ありがとうなのです!」

「当然のことですわ。一刻もはやく会いたくなるに決まっていますもの!」

「リグっ!」

「ファーリっ!」


 ぎゅうっと、二人で抱きしめあいます。

 人の往来もあるなか、私とリグはらぶらぶ仲良しオーラを撒き散らします。


 でもまあ、私がまだまだ子供の年齢というのもあって、ただの仲良し二人組って感じでしか見られていないはずです。

 リグも、世間的にはまだまだ子供の年齢ですし。


 若いからこそ、人目を気にせずイチャイチャできます。

 これも若さの為せる技なのです。



 ――と、そんなこんなをしているうちに、門の前まで到着してしまいます。


「では、行ってきます!」


 私は見送りの3人に敬礼するような格好で挨拶をしました。


「わたくし、待っていますからね」


 リグは微笑んで言います。


「上手くいくといいね、応援しているよファーリ」


 お姉さまは私の背を押すように言ってくれます。


「美味しそうなモンスターのお肉、期待してるにゃ!」


 アンネちゃんは……えっと、何でしょう。お土産を頼まれてしまいました。



 こうして、私は門を潜り、3人の視線を背に受けながら、白真龍の山へと向かっていくのでした。



 ――そこを丁度、慌てた様子で王都に戻って行くハンターの女性が通り過ぎました。


 何かあったのでしょうか。

 まあ、大きな事件でもない限り、私には関係ないはずなのです。

 気にせず行きましょう。


 私は膨大なステータスを活かし、人とは思えない速度で街路を走っていきました。


 その後方で、どんな会話がされているかも知らずに。



「――大変だッ! 白真龍の『転生』の予兆が現れたぞッ!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ