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12 アンネの助言




 アンネちゃんの言葉に甘えて、私は悩みの原因について洗いざらい話しました。


 私がリグを好きだということ。

 リグと結婚すると内乱の原因になりかねないということ。

 お姉さまが、私を好きだと言ったこと。

 その二つの出来事が原因で、いろいろ考えてしまって頭がパンクしそうなこと。


 全て、正直に話しました。

 そしてアンネちゃんは一言、こう言います。


「んにゃあ……そんなの、ファーリちゃんのやりたいようにやればいいにゃ」

「そんな、投げやりな!?」


 わりとあっさりした答えを頂きました。

 私としてはけっこう悩んでいる問題なので、もうちょっとこう、友達として深くて良い感じのことを言ってくれるのを期待したのですが……。


「別に適当に言ってるわけじゃないにゃ。ファーリちゃんは深く考えすぎなんだにゃ。内乱になろうがなるまいが、そんなの自分の好きにすればいいにゃ」

「流石に、そういうわけにはいかないのです。私も、一応貴族ですから……」


 私が言うと、アンネちゃんは困ったように眉をしかめて言います。


「正直言うと、アタシには貴族の責任とか、そういうのはさっぱり分かんないにゃ。人間、誰しも自分の思ったとおりに生きるのが一番だって思うにゃ。ファーリちゃんが内乱を起こすわけでもないのに、つまんないことを気にして自由にできないのは間違ってると思うにゃ」


 アンネちゃんの言葉は、ある意味ではひどい言葉で、同時に優しい言葉でもありました。

 アンネちゃんは内乱が起こってしまうとしても、好きなら告白するべきだと考えているのでしょう。

 それは、大勢の人々にとってひどい選択と言えます。


 でも、アンネちゃんは私の幸せの為にそう言ってくれているのです。

 それは私のために、多くの人々を敵にまわすような行為と言えます。

 それほどまでに友達である私を大切にしてくれるというのは、やはり優しさと言えるのではないかと思います。


「――ありがとうございます、アンネちゃん」


 私は、アンネちゃんの優しさに感謝しました。


「ちょっと、考えてみようと思うのです。アンネちゃんに言われたとおり、私がやりたいことについて。そして、やりたいことをどうやって成し遂げるかについて」


 少し、気が楽になったように感じます。

 私の恋心の問題と、お姉さまの告白の問題。

 いろいろ厄介なことは残っていますが、どうにか向き合っていこうという気力が湧いてきました。


「よかったにゃ。ファーリちゃんが元気な方が、アタシも嬉しくて幸せになるにゃ。だから、悲しい顔はしてほしくなかったのにゃ」

「アンネちゃんっ!」


 私はアンネちゃんに大切に思われていることが嬉しくて、ついアンネちゃんに飛びついて抱きしめます。


「ちょっと、ファーリちゃん!?」


 アンネちゃんは驚きます。が、私は無視してアンネちゃんの身体をもふもふします。

 素敵な柔らかふわふわの体毛を、全身で堪能します。


「アンネちゃんは本当に素晴らしい癒やしキャラなのです!」

「うにゃあ……」



 その後、私は教室の掃除をするのも忘れて、アンネちゃんをしばらくモフり続けるのでした。

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