10 罪の意識
私とパパの戦いの、翌日。
治癒の魔法を扱える者による治療もあって、パパは意識を取り戻しました。
終始、私の心は後悔と、恐怖と、罪の意識でいっぱいでした。
パパは、強いのです。
私が本気を出したからって、勝てる相手ではありません。
本当なら、近づいた瞬間にこちらが意識を失っていてもおかしくないぐらいの相手なのです。
なのに――どうして。
私は自分を呪いました。
そして、あの謎の光の力のことも呪いました。
パパを倒せるなんて――剣を砕いてしまうほどの一撃を、自分が放つなんて。
想像もしたことがありませんでした。
ですから、パパが意識を取り戻すまで、私はずっと泣いていました。
屋敷のメイドからパパが目覚めたと聞いて、私は飛ぶような速さで駆け付けました。
「――パパッ!」
「こら、静かになさい」
部屋にはベッドに横たわるパパと、お医者様がいました。
お医者様は騒がしい様子の私に怒っているようで、私は慌てて口を噤みます。
足取りもそっと、忍び込むようにして部屋に入ります。
「あの、お医者様。パパの容態は……」
「大丈夫です。無理は出来ませんが、先程意識は戻りました。今は眠っているだけでしょう」
お医者様の言葉に安堵しました
その後、私はずっとパパの手を握っていました。
私が、この手で、もしかすると殺してしまっていたかもしれない人。
大切な家族。
生きている、ということがどうにも素晴らしいことに思えて、また、自分の罪の意識がそのせいで余計に膨らんで。
いろんな感情が混ざりあった涙がこぼれました。
数時間後、パパは目覚めました。
そして、開口一番。
私が、望んでもいなかったことを言い出したのです。
「ファーリ――お前は、この家を出なさい」




