34話 後日談
超短い後日談
魔狩りの鎖との対決に勝利して数日。
「ふふっ。イーノレカの知名度も随分と上がってきたようね」
ファルがやたらと機嫌良さそうにしていた。
まぁ気持ちはわからなくもない。
魔狩りの鎖はこの街でも中堅に位置するギルド。あの小物のギルドマスターが三代目ということで歴史もあるらしい。そんなギルドと勝負し、弱小である筈の俺達が完全勝利をおさめた上に。
「あのギルドから美味しい依頼が回ってくるようにもなったし、怖いぐらい順調ね」
鉱山で俺達に私闘を仕掛けてきた件と、魔物討伐中に負った怪我の治療費を従業員に支払わせようとしていた違法な労働環境を管理局に密告するぞと脅し……もとい交渉材料にし、魔狩りの鎖とはとても有利な条件で業務提携を結ぶことが出来た。向こうに来た依頼の中で、冒険者ランクの低い俺達がこなせない依頼を合同で行い、その上で報酬の7割を俺達が頂くという搾取的業務提携だ。
魔狩りの鎖の所業も、俺達がそれを楯に業務提携を結んだことも、どう考えても明るみになるとヤバそうな匂いしかしないが、一介の従業員の俺が気にすることもないだろう。俺はファルを信じて働くだけだ。
あと変わったところと言えば――。
ファルに頼まれて魔狩りの鎖のギルドホームにお使いに行った時。
「すみません。ボスはイトーさんの顔を見ると失神するんで代わりに私がご用件を承ります」
廃鉱山で少し張り切り過ぎたのが悪かったのか、あれ以来ギルドマスターの男と顔を合わすことがなくなったり。
「えと、イトーさん今日も残業なら……あ、あたしも一緒に……」
俺とファルの教育が芽を出したのか、ルミエナが自ら残業を申し出てくれたり――と。どうでもいいことや喜ばしい変化があった。
まぁそれ以外には特に変化はなく、いつも通り今日も仕事に追われる毎日であり。
それはきっと明日も明後日も続いて――。
「明日、休みにするから」
……………………えっ。
次回、休日の過ごし方




