幕間-1 : “宵の国”の登場人物一覧
【第1部までのキャラクターたち】
!!注意!!
第1部のネタバレを含みます。第1部を未読の方は、先に本編を読まれることを推奨します。
―魔族領“宵の国”勢力―
◆[1]魔剣のゴーダ
主人公。元人間。現代日本は伊豆の出身。人間だった頃の名前は“合田竜矢”。
“三つ瞳の魔女ローマリア”による異界召還魔法の実験体にたまたま選ばれ、魂のみ異世界に転生。“人間の魂”と“魔族の肉体”を持つ特異的存在となる。
魔族にはない、人間特有の“成長の早さ”。人間にはない、魔族特有の“長寿と高いポテンシャル”を両立させる。
転生後、150年で魔族最高位“東の四大主”にまで上り詰め、以降250年間、最強の暗黒騎士として自身の部隊“イヅの騎兵隊”を率いる。ちなみに“イヅの騎兵隊”は総勢100名余り。週休2日保証・昼夜勤定時制・残業不払い率ゼロの優良組織である。
専属女鍛冶師“火の粉のガラン”によって打たれた、超高硬度鋼“蒼石鋼”を使用した銘刀“蒼鬼”を愛用する。
独自開発した魔法体系“次元魔法”と“日本刀もどき”を組み合わせた“魔剣”の使い手。
長生きし過ぎておかしくなりかけた精神を、現代から物質転位させたパソコンによるアニメ鑑賞とネトゲで健康体に維持している。が、最近は専ら物騒な時勢のお陰で常時シリアスモードになっている。
◆[2]ベルクト
“魔剣のゴーダ”の右腕的存在。“イヅの騎兵隊”のリーダー格。常に全身甲冑姿をしているため、表情が分からない。
淡々とした性格。ゴーダのことを侮辱されると激昂する。
“日本刀もどき”の扱いもさることながら、全身甲冑姿で繰り出すアクロバット徒手空拳が個性的。
◆[3]火の粉のガラン
“魔剣のゴーダ”が治める“イヅの城塞”に住み込んでいる専属鍛冶師。褐色の肌に、着崩した羽織姿。額には小さな2本の角がちょこんと生えている。太股もヘソも胸の谷間も露出多めの魔族の女性。
性格はガサツで、鍛冶仕事以外に興味がほとんどない。自分で打った刀や防具に母性的な愛情を持っている。
火の属性を宿しているため、溶けた鉄を触っても平気。すさまじい腕力を誇る。
◆[4]三つ瞳の魔女ローマリア
魔族の女。“宵の国”西方の護り、“星海の物見台”を治める“西の四大主”。ゴーダを異世界転生させた張本人。
肩まで伸びたまっすぐな黒髪に、翡翠色をした瞳、白い霧のように重さを感じさせない絹のローブを纏う。絶世の美女だが、それゆえに右目に回された前髪の下に覗く眼帯が歪さを際立たせている。
250年前、“魔剣のゴーダ”と同時期に“四大主”となる。それ以前の異名は“翡翠のローマリア”。転位魔法を専門とする魔女で、魔法に関してはゴーダの師匠に当たるが、現在は過去のいざこざで破門している。
“星海の物見台”をたった1人で守護している。配下は自身の魔力で動かしている小さな“人形”たち。
ゴーダに異常な執着心を持ち、常に顔には嘲笑が浮かぶ。
感情が昂ぶると、「アはっ」と狂気地味た声で笑う。
◆[5]蝕みのカース
“宵の国”南方の護り、“暴蝕の森”を治める“南の四大主”。
魔族と魔物の中間的存在、“道具を持った獣”の1個体。言葉を解さない彼らの群れの中には、常に必ず1体だけ高い知能を持った個体が存在する。その個体の呼び名が“カース”である。
“カース”となった個体は口笛でその他の“道具を持った獣たち”を統率する。
“道具を持った獣”、“森の民”、“カースの揺り籠”――様々な名で呼ばれる彼らは、“暴蝕の森”で野性的な生活を送る。奇妙な刺繍の入った民族衣装を着用し、道具を使うが、それ以外の知能は低い。
彼らは更に上位となる存在、“仕え主”と呼ばれるものを信仰しているらしい。
◆[6]渇きの教皇リンゲルト
アンデッド。骸骨。“宵の国”北方の護り、“ネクロサスの墓所”を治める“北の四大主”。金糸で縁取られた赤い法衣、縦に長い祭儀用の帽子、巨大な宝石をあつらえた木の杖を持つ。
“四大主”の中でも最古参の長老株。少なくとも650年前には既に“北の四大主”であったが、いつからその地位にあるのかははっきりしない。
“魔剣のゴーダ”が現れるまでは、“宵の国”で最強を誇っていた。
配下に無数の骸骨兵を従える。その総兵力数を知る者はいない。
◆[7]大回廊の4人の侍女
“宵の国”の中心に位置する“淵王城”にて“淵王”に仕える侍女たち。“大回廊の守護者”とも呼ばれる。
白と黒を基調とした、極度に肌の露出を抑えた給仕服を来ている。目元を布で隠しているため、口元しか見えないが、目は金属光沢のある金色をしているらしい。
4人が4人とも全く同じ背格好、全く同じ声をしているため、個体の区別ができない。手に持っている道具で唯一個体の判別ができる。個体ごとの名前は持たない。
いつも気配なく突然現れ、いつも物音なく突然姿を消す。出てくる瞬間も、消える瞬間も、目撃した者はいない。
“淵王”の座す玉座の間へは、4人の侍女の案内がなくては辿り着けない。
◆[8]淵王リザリア
“宵の国”の中心部、“淵王城”の玉座の間に孤独に座す、“宵の国”の絶対君主。
真っ白な髪と肌、金属光沢をした金色の目。白と黒を基調としたドレスに、頭上には王たる証しの冠を頂く。常に無表情で無感情、声音も冷たく、しばしば退屈そうに頰杖を突いている。
何を考えているのか全く分からないが、時々“四大主”たちを呼び出しては宴を開こうとする辺り、寂しがり屋の面が覗き見える。だがそのことを尋ねても、リザリアは無表情で無関心を示すだろう。
誰も訪ねる者がいないとき、その玉座からリザリアの人影は消えているのだが、そのことを知る者はいない。
魔族が“明けの国”領を侵すことを禁じている。それ以上に、“宵の国”の地が“明けの国”に侵されることを決して許さない。