表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
みことエッセイ  作者: 奈月遥
6/94

月の環

月の環【つきのわ】

繊月に稀に見られる、月の輪郭に沿って光る環。

わたしは月の環を結婚指輪にほしいです。

 二日月の繊月は、わたしの誕生を見守ってくれた。

 細く細く可憐な姿、それでいてはっきりと光るその姿は鋭く、まっすぐに目に映る。

 夕方のまだ早い時間、春でもまだ明るい頃に、もう西に傾いている。

 その姿をずっと見つめていると。

 さっきまで欠けていたその姿、先端と先端は離れていたのに。

 つつっ、とその切っ先が伸びていって。

 ほんの少しの時間、帰り道を歩いている間に、両端が結ばれて、環になった。

 エンゲージリングに見えた。

 黄金の環、現れるかどうかもわからないその姿に。

 それを贈られたなら、その絆と約束が永遠だと信じられる。

 二日月は透明の月。純粋で、ありのままに世界を感じて、自分の世界に生きる存在。

 

 それでも、なぜ繊月は環になったのか。

 いつでも、というわけではなさそうで。

 妖精が来たのか、世界がつながったのか。

 その月の環に添うように、左手を掲げてみる。

 その光が薬指に絡まったように思えた。

 月の環を、手のひらに握り込んでみる。

 開いても、なにもないけれど。

 いつか、確かなものが、きっと。

 この手の中に、もしくは、この胸の内に。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ