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みことエッセイ  作者: 奈月遥
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雪月夜

雪月夜【ゆきづくよ】

降り積もった雪に月が照り注ぎ、辺りが凛と明るい夜。

 ゆふづくよ、あかときやみ。

 夕べに明るく月が照れば、暁は暗く闇の中。

 時間を越えてひとつの情景に包み込まれる光と闇の絵画。

 普く広がるその景色に、既視感があった。


 故郷の会津が雪化粧する冬。

 ある夜は、しんしんと綿雪が降り積もり、降る雪ひらを見あげれば、雪が降ってくるのではなく、まるでわたしが空へと舞い上がっていくような不思議な感覚を体験する。

 そしてしばらくは夜も昼もなく雪を降らせる重く街にのしかかる雪雲も、やがてその胎に抱えていた純白を産み落としきり。

 空は冷えあがり、晴れあがる。

 そうして、夕も宵も過ぎて、みんなが暖かな家の中へと籠ったあとに。東の山から膨らんだ月が昇りくる。

 その月光が山を乗り越えて、街が羽織る雪に射し込めて。

 柔らかな黄金の月光を、雪が吸い込んで。

 雪が淡く輝きだす。

 普く光。

 静けき冬の、音無の夜。全てが眠る季節の、全てが眠る時間に。

 光が満ちる。

 光が世界を包む。

 普く光。

 無限光。

 優しく、わたしの心を包む、世界の慈悲。

 雪月夜――穏やかな光は、全てを眠らせる子守歌。

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