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みことエッセイ  作者: 奈月遥
19/94

妖す

妖す【あやかす】

妖怪がやったとしか説明できないような、ふしぎなこと、不可能なことを引き起こすこと。

「ケータイがない!」「妖精があやかしたよ」のように使う。

なお、わたしの家で頻発します。

 あれがない!

 あれはどこにいったの?

 明日、使うのに!

 妖精はもう、この世界からいなくなって、常春の世にひきこもっていると思ってますか?

 夜中にこっそりと靴を造ってくれる職人さんは、いないのかもしれません。

 一目を忍んで家をキレイにしてくれるいい人たちは、いないのかもしれません。

 でも、モノを隠すイタズラ好きは、あちこちに。

 そして、その隣人たちは、よくよく考えれば、どこにいるのかと言えば。わたしたちの、この頭の中で、ひっそりと暮らしていて。

 ときどき、その記憶をさらりとさらっていく。

 取られた記憶の中に、探し物の場所がはっきりと残っているのに。

 それでも、彼らが取っていくのは、わたしたちにとってなんでもない、日常の中の些細なこと。

 大切な想い出には、けして手出ししない。

 怪盗は紳士に、ふまじめに、はしゃぎながら、尊厳を守りながら、その好奇心を満たして去っていく。

 ああ、今日もまた、ケータイが妖された……ま、いっか。そのうち出てくるでしょ。

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