月の透く
月の透く【つきのすく】
太陽が明るい時間に月が透けるように薄いこと。
透き月とも言う。
まだ空の縁まで青い時間帯に。
山の際まで、ビルの区切りまで、ラムネ瓶みたいに透き通ってる。
太陽は、いずこにか。
どこに目を向けても、まぶしくなくて。どこまでも青い空を見通せる。
その中で、見つけた。
半分に割れた月が、そこにいた。
湿気の多い宵に登る緋色の月でもなく。
雲のたなびく空に佇む黄金の満月でもなく。
夜更けに空を渡る月船の白さよりもなお。
その淡く儚く、今にも消え去りそうな、うすやかな白は。
目を離した途端、次にはいなくなってしまいそうな白は。
なおさら、清廉で。なおさら、優雅で。なおさら、綺麗で。
その姿をこそ、白という言葉を体現していると思う。
この透けて消えつつも確かにある色こそが、月代か。
それは、知らなければ、見つけられなければ、気にも留めなければ。こんな明るい時間には、ないと言い切ってしまう。
月など出ているはずがないと、そもそも出ているなんて考えも浮かんでこないほど、存在が知られていないもの。
でも、確かにあった。顔をあげるだけで、誰でも見つけられた。
こんなにも、胸に残るこの月の白を。
その姿を、消してしまいそうな明るさの中で、健気に立っている月の素を。
次の夜にも、そして次の代にも、変わらず、何度でも空を渡る麗しい月の代を。
あなたにも、見てほしい。
きみにも、見せてあげたい。
いっしょに、見よ。
月の透く、晴れ渡る空を。




