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星添える
星添える【ほしそえる】
月の近くに星がある様子。
特に、金星や木星などの明るい惑星に使う。
細いシャムシールのような月から、零れたように金星が添えられる。
国旗のデザインに取り入れられるのも納得な、凛と麗しい光景で。
その星のまっすぐに光るアクセントが。
ふと、思えて。
涙ぼくろのように。
艶ぼくろのように。
そしたら、もう、なんとも艶っぽく見えてきて。どきどきしてきて。生娘、でもないのに。
そんなふうに、艶めかしく、周りのまなざしを集める魅力を持っている人は、うらやましい。
それはもう、たまさかのもので。
それなのに、月はその輝く魅力を、添えられたり、なくしたり。
ファッションみたいに、貌を変えてしまうなんて。
ずるいよ。
それでも、うらめしく思えないのは、その美しさを認めてしまっているからで。
細められたまなざしに、きらりと落ちる泣きぼくろ。
微笑みの口元に、輝き放つ艶ぼくろ。
月の魅力を最大限に引き出すために、星添える。
ほんのひとつ、アクセントがあるだけで。
女は、女になるのでしょう。




