羽籠りの
羽籠りの【はごもりの】
「雛」「稚児」「天使」にかかる枕詞。
親鳥が翼で大切な子どもを守るような様子。
まだ、未言という言葉ができる前に生まれたもの。
柔らかな羽が、あたたかなたまごを包み込む。
とくん、とくん。
まだ、はじまる前のおさない鼓動が伝わってくる。
まだ、鳴っていない音が響いてくる。
雪みたいにまっしろな、雪みたいにやわらかな羽が、まだ生まれる前のいとしごを守ってる。
寒さから、守ってる。
天敵から守ってる。
孤独から守ってる。
ちいさな、ちっちゃな、たまご。
おおきな、おっきな、愛に守られてる。
その愛は、優しく、柔らかく。頼りないようにも見えるけど。
けして、はなれず。けして、危険を近寄らせず。
たいせつに、たいせつに、守り続ける。
いつか生まれてくる愛しい命を。
この羽で、抱き、包み、育む。
生まれたばかりの稚児を包む、羽衣のように。
どうか、光溢れる明日よ。
この子に降り注いで。
どうか、夢に彩られた希望よ。
この子に射し込んで。
羽籠りの愛し児へ、未来を。
そして、この羽を託す。
かぎりない空へ羽ばたいて。




