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セカイカクメイ   作者: 佐々木繰磨
一章
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一章・六話

楽しかった。

小さい頃は、お母さんと二人で、砂浜で海の向こうの遥か彼方にあるお国のお話をしてもらっていた。

そこでは魔術みたいな仕掛けのおもちゃや、大きな鉄の蛇みたいな乗り物がどこへでも連れていってくれる、夢のような場所だった。

「お前も大きくなったら、海の向こうでたっくさん物を見ておいで。きっとわくわくするよ」

お母さんはいつもあったかくて大好き。

そんなお母さんが自慢だった。




「そういえば最近あいつ見ないなー」

「誰だよ、あいつって」

「んー……弟」

カミサマにも弟ってもんが本当にいたのか。どんな奴かは知らないが、きっとコイツに似てどうせロクでもない輩なんだろう。

「これ以上めんどくせぇ事になるのは御免だぞ」

「いやもう呼んじゃったし。残念でしたー」

「は?」

「夕方には来るからとっととガッコー行け妖怪」

「髪の毛毟るぞバカミサマ」

「…うわぁ………寒っ」

「マジで黙れ」


いつも通り学校へ向かう。

至って変わらない日常程有難いものはないが、今日はいつもにも増して奴が五月蝿い。言葉より行動が五月蝿い。鬱陶しい。俺の周囲をグルグルと歩き回ったり、キョロキョロと辺りを見回したり、一体何がしたいのか全く分からない。

「おっはよー!繰磨!今日も相変わらずの仏頂面だね!」

「お早うございます。今日も相変わらずギャーギャーと元気ですね」

「………褒めてんのそれ」

宮川先輩を無視して下駄箱へ向かう。すると間野先輩…夢兎曰く妖の女がいた。

「おお、繰磨。おはよう。放課後少し話があるんだが…大丈夫か?」

「…はい」

「そうか、良かった。じゃあ放課後、生徒会室に来てくれ」

「分かりました」

なんの話か知らないが、どうせすぐ終わるだろうし問題はない。夢兎の弟とやらと会わずに済む口実にもなり得る。

「…………お、…おは…よ…………」

蚊の鳴くような声で背後から話しかけてきたのは、生徒会長の隠城先輩だ。

………ちっさ。

「お早うございます。何かありましたか?」

「う、ううん…何でもないよ…。……繰磨君って、不思議な目の色してるんだね………綺麗…」

「目……ですか?生まれつきですが」

「そうなんだ。すごく綺麗……………………」

そう言った後、音に出さず何か呟いたかの様に見えだのは気のせいだろうか。


あっという間に時は過ぎ、放課後となった。

夢兎は弟が所定の場所にいないだとか言って俺から離れていった。それ程弟とか言う奴はとんでもないのか。

「2年も3年もまだ終わってねぇのか…」

生徒会室に来たものの誰も居らず、暇つぶしに室内の家具や雑貨を物色していた。

とは言っても、ここには必要最低限の物があるだけで、特にめぼしいモノは見た感じ無い。唯一目立つモノは夕陽の射し込めた大きな窓と、その際に設置されたリクライニングの黒いソファチェア。

それに腰掛け、窓の外を眺める。丁度地平線に夕陽が沈む頃合で、紅く輝く太陽の光に飲み込まれてしまいそうな感覚に陥る。美しい。

「待たせたな。繰磨」

「あぁ、先輩」

間野先輩は俺の傍まで来ると、夕陽を眺めて言った。

「綺麗だろう。生徒会の者しか拝め無い最高の景色だ。いつ見ても素晴らしい」

「…ええ。そうですね」

しばしの沈黙の後、唐突に先輩が切り出した。

「……お前は、神を信じるか?」

神。カミサマ。夢兎。信じるというより、俺は知ってる。しかし、それを話していいものか判断しかねる。俺は敢えてぼやけた言い方をした。

「…さぁ。信じる者次第かと」

「間違ってはいないな。だがもし、我々が信じるから神が存在するのではなく、神が存在するから我々が縋るのだとしたら、話は違ってくる」

「…どういうことですか?」

「繰磨は知っているんだろう?私が妖であることを。ならお前の肉体の事は大概嗅ぎ分けられるものさ」

「……カミサマの事もですか?」

「ああ。繰磨に巣食う神が夢兎と名乗っている事も、繰磨に何をしようとしているのかも、全て分かる」

夢兎の事を知っている。そんな人物の登場は安堵で、同時に恐怖でもあった。

「ならあの時、俺を無理矢理生徒会に入れたのも、それを全て知っていてしたことですか?」

「そう。君の素性が分かって、ここに置いておくべきだと思った」

「生徒会は、何かの組織なんですか?」

「いい質問だ。学校の生徒会っていうのは表の顔ってやつだ。裏の顔と言うべきか迷うが、私がここを利用している目的が別にあるんだ」

「なんですかそれ…」

「知りたいならついて来い。君の〝夢〟を叶えてあげよう」






つづく


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